昨日はみすたさんと副音声の収録を行いまして、これにてDVD第10弾、すべての作業を終えました。
あとは細かい見直し作業をして、素材は松下さんへと送られてまいります。みなさまのお手元に届くまでもう少し!
さて、じっくりと日記だ。
少し前になりますが、母校の北大に呼ばれて講義をしてきました。「大学と社会」という講座で、卒業生が講師となり社会、仕事というものについての講義を担当する、という試みであります。
私は一昨年に続き2回目の「先生」で、今回は「地方で働く意義」について話をしました。北海道という地方の大学で学ぶ学生諸君には、是非とも考えてほしいテーマ。
大部分のバカ学生どもは(まぁ後輩だからいいだろう)おもしろ話でも期待してたんでありましょうが、そんな気はサラッサラございません。マジメに話をしてきました。
えー諸君。
始まりましたよ講義が。
「生きる」とはどういうことだろうか。「生きる意味」。
いきなり大きな話です。
「生きる」とは、生物学的に言えば「種の保存」であります。食って寝て、生命を維持し子孫を残す。単純に言えばそれだけのこと。
でも人間はそのために、「社会」を維持しなければならない。個体の生命を維持していくためには、「社会を正常に維持していく」ことが絶対条件。
「生きる意味」を考えるとき、あなたは自分の内側ばかりに向き合っていないだろうか。
自分自身のことと同等に、「社会の維持」も考えなければ「生きる意味の半分を見失っている」ことになってしまう。
あなたが生きるためには、社会全体のことも考えなければいけない。
では考えてみよう。
果たして今の社会は、生きやすいだろうか。
学生諸君に質問。
「あなたは東京に出て働きたいか?それとも地方に戻って働きたいか?」
この問いに、ほとんどの学生が「地方で働きたい」と答えました。
20年前であれば逆に、ほとんどの学生が「東京で」と答えていたはず。でも今は違う。
学生に限らず今、多くの人が「地方で生活したい」、そう思っています。東京だけでなく、大都市への仕事、人口、情報などの一極集中にどこか違和感を感じている。住みにくいと思っている。
なぜか?
なぜ今人々は地方で生活したいと思うのか?
なぜ一極集中では生きにくいと思うのか?
この20年で日本社会はずいぶん変わったと思います。その変化を私は、「社会のパーソナル化」ととらえています。「社会が個人と直結してる」。わかりにくいですな。説明しましょう。
たとえば電車が動かないとする。するとあなたはまず携帯を開くでしょう。JRの運行情報にアクセスして情報を得る。
つまり個人が直接、JR本体にアクセスするわけです。
これが昔だったら、まず隣の人と「どうしたんでしょうねぇ?」かなんか言いながら、しばし待つ。やがて「ちょっと駅員つかまえてきます」という人が出てきて、つかまった駅員は「まだ本部からの連絡待ちです」かなんか言って、なかなか本体にはたどり着かない。
つまり昔は個人とJRという大きな組織の間に、例えば隣の席の人とか、いくつかの小さなコミュニティーが存在したわけです。
それが今は、個人とJR本体が直結している。隣の人に「困りましたねぇ」と言う前に、直接JRに問い合わせ、物申すこともできる。
便利ではあります。
でも、社会が個人と直結したその結果、「社会が個人的なことにとらわれる」ようになってきた。
「些細なこと」で社会が騒ぐ。「それより大事なことがあるじゃないか」「いいじゃないかそんなこと」と、誰しもが思うようなことで社会が揺れる。でも「いいじゃないか」とはもう、誰も言えない。
思い当たることはいくつもあるはずです。
社会はもっと社会的でなければならない。社会はもっと大人でなければいけない。
でも、今の社会はとても、幼稚だ。
社会がパーソナル化してしまった結果、幼稚で生きにくい社会になってしまった。
本来個人と社会の間にもっと多くのコミュニティー、例えば家族であり、隣近所であり、町であり、県であり、地方であり・・・そういったものが存在していれば、個人的な問題はそこで消化吸収されていたはずだ。
ローカルコミュニティーが機能していれば、社会全体の緩衝材的な役割を果たし、社会は本来の社会性を取り戻す。
便利さだけを追求した一極集中ではなく、地方独自の考え方、文化が各地で花開けば、社会はもっと成熟する。
あなたの生きる意味を考える場合、同じく社会のことも考えなければならない。
地方の大学で学び、働こうと思っている諸君ならば、地方の存在意義を常に考えていてほしい。
キミらが地方で働き、そこでしっかりと生活する。それだけでも今の社会では、立派な社会貢献となるのだ。
・・・とまぁ、このような話をしたわけであります。
ボーイズ・ビー・アンビシャス!
また明日!
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どんどんどん!
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(19:23 藤村)