2007年6月4日(月)
2007年6月4日(月)
嬉野です。
先週の金曜日からDVDの予約が始まりまして、世間は、討ち入りという勇ましい季節と相成ったのでございまするが、
私ひとりは、四宮Pとの長かった道内出張も終えまして、あの晩、みなさんの激烈なる討ち入りを尻目に、藤村先生の編集も尻目に、ひっそりと札幌駅へと向かいまして、久ぶりで夜汽車に乗ったのでございます。
嬉野の子供の頃、いやぁそんなものはもう、40年近くも昔のことになるのですけれど、その頃嬉野が住んでおりました九州の佐賀から東京へ行くとなると誰もが夜汽車に乗って行く他に手段がございませんでした。
ですから上京する友や親戚を送るとなると、きまって夜でした。
日が暮れてから知り合いが駅のホームに集まり出す。
去り行く人を乗せた夜汽車は、みんなに見守られながら、やがて遠く闇の中へと消えていく。
別れは全て夜の中でとりおこなわれる…。
そんな感じだったんだと思います。
もちろん飛行機は既にありましたが、そんなものに乗れるのは一握りのお金持ちだけだという、庶民の経済感覚がございましたから、誰も飛行機なんかには乗らなかったようです。
国鉄の新幹線もまだ博多までは延びておりません頃でしたから、私の田舎から東京を目指すとなると国鉄の寝台特急「さくら」に乗るということになる。
私も小学6年の時に家族旅行で一度「さくら」に乗り込みまして、京都まで参りました。
しかし眠れんもんですよね、寝台車というのは。
ワクワクしちゃってね、もうドキドキしちゃって眠れんのです。
朝から夜が待ち遠しいのです。
夜といえば一日の終わりなのに、その日の夜ばかりは夜汽車に乗る夜なのです。だから夜を待つ。旅が始まるその夜を待つ。
夜を待って、日を過ごす。
あれは悪くないですね。
いつもは日が暮れてしまうことが嫌なのに、暮れて行くのが楽しみになる。一日が長く、充実していく。
そんな子供の頃の気分が、金曜日の私にもありました。
一日中、夜が来るのが待ち遠しかった。
札幌駅22:00発、青森行き急行「はまなす」という夜行列車がございます。
この列車にはカーペットカーという青函フェリーの2等船室みたいなカーペットが敷いてある車両がありましてね、そこだと横になって青森までいけるということでね、だいぶ安いものだから人気で、あっと言う間にきっぷが売り切れになってしまう。
で、しかたなく、かなり割高になりますが、私は寝台券を購入しまして、寝台車両に乗り込みました。
22:00少し前に札幌駅のホームにあがりましたら、急行「はまなす」はすでにホームに入っておりました。
車内はガラガラでしたが、「本日は、どの車両も満席となっております」という車内アナウンスが聞こえてまいりました。
私は、ベッドの上に荷物を置いて、することもこれといってなかったので、カーテンを閉め、寝巻きに着替え、そのまま横になってしまいました。
ほの暗い寝台に寝転んでいることが、なんかちょと、あまりにも久しぶりな感じだったので、少しばかり興奮してもおりました。
時折、耳元のスピーカーから車掌さんの声が聞こえてきます。
その車内アナウンスの声が、少し割れているのが、いかにも夜汽車の風情に思えました。
音質が悪いというのも、不思議なことですが味なのですね。
今の時代、音質が悪いということも、旅情ということでは選択肢のひとつに成り得る。
それほど、悪い音質というものは排除すべきではない重要な音質なのだなということを改めて認識しました。
変な時代ですね。
さて、夜10時。
急行「はまなす」は定刻どおりに走り出しました。
ぼくは、興奮しながらも、それでも知らぬ間に眠ってしまっていたようです。
ガタンという、車両の停止する振動に揺り起こされた耳に、遠くホームで流れるアナウンスが聞こえて来ました。
列車は「苫小牧駅」についたようでした。
時計を見ると夜の11時になっていました。
やがて、車両内にどやどやという足音が聞こえてきました。
誰かが大勢乗り込んで来たようです。
家族連れのようです。
言葉の端々から青森のお国なまりが聞き取れます。
私は、寝台に仰向けになったまま、小声で交わされる家族のやり取りを、カーテン越しに聞くとはなしに聞いていました。
「じいちゃん下に寝かせろ」
「じいちゃん、ここに寝ろ。下が楽だから」
「上にはオレが寝る」
「いいよ、アタシが上に寝るから」
「いんや、おめぇも下に寝ろ、オレが上に寝る」
「でも、上は男の人にはずいぶん狭いよ」
「なーんも、平気だ、おめぇあっちで下に寝ろ、楽だから、な」
家族皆の口から盛んにおじいさんを気遣う言葉が聞こえてきました。おじいさんだけでなく、お父さんもお母さんもそれぞれに相手のことを気遣っているようです。
夜汽車に乗って家族は青森に帰るのでしょうか。
事情は分かりませんでしたが、仲の好い家族だということは、言葉を通してよく分かりました。
私は、青森へ行って、いまだに東北をぐるぐるバイクで旅している妻と合流して、週末だけ、青森周遊をするために急行「はまなす」に乗り込んだのです。
しかし、妻が運転するバイクは、結局翌朝、午前10時30分。
私を乗せたタンデムのまま、青森県七戸町の「喜久屋商店」の前の四つ角で故障し、旅はあえなくそこで中断を余儀なくされてしまうのですが、そこで、本当にいろいろな方々に親切にしていただいたのです。
どうして青森の人はみんな、こんなに旅人に親切にしてくれるのだろう。というのが、今回の青森の旅での感想です。
日本一、人の好い県は「岩手県」だと、前にテレビで見ましたが、青森県人だって驚くほど人が好いのです。
テレビの報道番組では、ビックリするような事件のニュースばかりが連日紹介されますが、その同じ日本で、普通に受けてしまう初対面の人たちからの親切。
ショックなことが起きても、人の好さは萎えた心を救ってくれるようです。
他人の親身な優しさが、落ち込んだ身には一番の薬だということは、多分間違いないことだと思います。
人の好さというものは、いったいどんな環境で生まれ、育っていくものなのでしょう。そして、どんな環境で失われてしまうのか。
それにしても、岩手と言い青森と言い、北東北は好いです。
この夏が終わる前に、どこかで、まとまった時間を掛けて旅したいと思うのであります。元気なうちにね(笑)。
ぼくらは、番組以外でもあちこち旅することが多いから、
旅の先々で思いついたことを、いつかまとめてみなさんに紹介すべきなのじゃないかなと、この頃思うようになりました。
そんなことを藤村くんとも話します。
今の日本という国には、まだまだ好い物がいっぱい残っていて、悪いことより、好いことの方がきっと圧倒的に多いのだろうという、そんな予感がします。
そのことに、みなさんと一緒に気づきたいと、この頃強く意識するようになったのだろうと思うのです。
今日の札幌は、気温22度、快晴です。
遊びに来るなら、一年で一番好い時期ですよ、奥さん。
じゃ、また明日。
■「DVD西表島のシークレット、早く教えろ」とのリクエストを掲示板に数多くいただいております。
あらためてウラにちゃんと書きますが、本日も遅くまで日記の更新をお待ちいただいた皆様方へ、ごめんなさいの意味も込めて、いち早くお教えいたしましょう。
シークレットは全部で3つ。皆さんお困りなのは、「大泉編」でありましょう。教えます。
DISC2の「特典映像メニュー」
↓
《祭最終夜を見る》を選択する
↓
映像が再生されたら10秒以内に方向キーの「下(↓)」を押す
↓
するとシークレット映像「副音声収録風景・大泉洋編」が再生。
以上でございます。
さぁ、DVD出してきてやってみましょう。(藤村)
【DVD全集第9弾発売決定!】
「北海道212市町村カントリーサインの旅2」と「サイコロ4」の2本立て!
発売日は、9月26日(水)!
ネット通販の「HTBオンラインショップ」及び北海道内の「HTBグッズ販売店」にて同日より発売開始。
道外にお住まいの皆様方、ネット通販をご利用されない皆様方には、全国の「ローソン店頭ロッピー端末」にて予約受付。
予約開始日は6月1日(金)午前10時から!
また、DVD第8弾「激闘!西表島」の追加予約も同日より受付スタート。こちらの受け渡しは8月15日(水)となっております。
【「水曜どうでしょう最新作!放送決定!】
テレビ朝日さんで6月24日(日)深夜(お時間未定)第一夜?第四夜を一挙放送!
7月1日(日)同じく深夜に第五夜?第九夜まで一挙放送!
(関東ローカルでの特別編成となります、全国放送ではありません)
(15:41 嬉野)