8月18日木曜日でございますな。
はいどうも、久しぶりに藤村でございます。
このところ嬉野先生のしぶい日記が続いておりまして、いいですな、このような、まぁ番組とはたいして関係の無い、多少浮世離れしたようなお話をできるというのは、ある意味「余裕」「ゆとり」があるということですよ。こっちにも、あなた方にも。
実際、嬉野先生にもこのところ時間的な余裕が出来てまいりまして、先日は映画を2本見たと。それもなんですか?普段は読書量の少ない私が、ずっと熱心に読んでいた「亡国のイージス」上下2巻を、私が読み終わるよりも先に、映画でご覧になったというじゃないですか。
こういう時の嬉野先生というのは、皆さん、想像できないと思いますけど、ヤラし〜い表情を浮かべますよ。
「ふふふふふ〜ん・・・」
なんつって気色の悪い笑みをたたえながらですね、近づいて来るんですよ。私に。
「藤村くん、観て来ちゃいました」
「なにを?」
「ん〜?・・・亡国のイージス」
まずですね、「主語」を最初に言わないんですよ。いきなり「観て来ちゃいました」と。「動詞」から入るんですね。そして私に「なにを?」と主語を問わせますね。すると、「ん〜?」なんつって多少の間を置いて、「亡国のイージス」と。最後に決めゼリフですね。で、すかさず私が、
「あら!観てきたの!どう?おもしろかった?」
な〜んて感嘆の声を上げますと嬉野先生、満面の笑みを私に見せつけまして、
「やぁー、おもしろかったですよ先生!」
なんつっちゃって、満足げに語り始めるわけですね。
いや、別に私、先生のこういう「もったいつけた行為」を迷惑がっているわけではないんですよ。やっぱり嬉野先生の語りというのは聞きたいですから、心から「あら!観てきたの!」と、そう言うんですよ。多少、先生のヤラしい表情に、(おっ…また来た)と思うこともありますが、たいていは、先生の流れに乗って、語りを聞きますね。
でも以前、ちょっと先生をガッカリさせたことがありまして。
「ほら藤村くん、これ読んでごらんよ」
そう言って先生が貸してくれた漫画がありましてね。江川達也先生の「日露戦争物語」ですよ。おもしろかったですよぉ。私、すっかりハマリましてね、同じく明治初期の日露戦争を題材とした司馬遼太郎先生の小説「坂の上の雲」も先生から借りて、あっという間に読破いたしまして、一時すっかり「日露戦争オタク」「明治オタク」になりましたよ。あれです、ちょうど「どうでしょう本」で四国に行ってた頃ですよ。愛媛松山が「日露戦争物語」の主人公・秋山兄弟、正岡子規の故郷でね、私、資料館なんかを朝から熱心に回って見学してましたもの(そこらへんは先生、全く本では触れてなかったけど)。
まぁ、それぐらいハマっている私を見て、先生もうれしかったんでしょうね。ある日。先生が、例のヤラし〜い表情を浮かべながら、私に近づいて来ましたよ。
「ふふふふふふ〜ん」
来ましたよぉ。
「藤村く〜ん、ボク買っちゃいました」
相変わらず「主語」は言いませんよ。
「なにを?」
もちろん主語を問いましたよ。
「これ」
言うかわりに先生がカバンから出して来たのが、「日露戦争物語・第15巻」。発売されたばかりの最新刊ですよ。私が「先生!次のはまだ出てないの?」と、うるさく言ってましたからね。先生、発売日にちゃんと買ってきてくれたんですね。しかし私、不用意にも言ってしまったんですね。
「あ、それもう読んだ。きのう買ったもん」
「ぅ・・・」
先生、声にならない音を喉につまらせて絶句したあと、心の底から悲しい表情を浮かべましたね。
「だから先生・・・それいらねぇや」
追い討ちをかけるように、私、暴言を言い放ちまして、先生の悲しみは更に増長しましたね。いけません。嬉野先生、ガックリと肩を落として、真新しい「日露戦争物語・第15巻」をですね、静かにカバンにしまいましたよ。
しかしまぁ、それ以降も相変わらず先生は私に様々な物を見せびらかしに来ております。
現在も先生のデスクには、私の知らない漫画だのDVDだのが、これ見よがしに置いてあって、いったいいつになったら藤村くん、「それなぁに?」と聞いてくれるんだと、ボクは待っているんだよと、そういう状況を作り出しております。
しかし、本日も私は「新作」の編集に忙しい身。しばらくは、先生の語りもおあずけと、そういう状況で・・・あ、今先生が出社してまいりました。
「藤村くん、亡国のイージスもう観た?」
開口一番、聞いてきました。やはり、語りたくてしょうがないようであります。
(観てねぇって。忙しいんだから)
心の中で私、またも暴言を吐いてしまいましたよ。
では本日も、編集室にこもります。
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(3)散(3)ざん(0)おっ(3)さん(11)いい思い
(14:18 藤村)
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