2007年9月11日(火)
嬉野です。
東別府というJRの駅のすぐそばに小さな共同湯がありましてね。
「汽車を待つ間にひとっ風呂」
なんてなことが建て屋の壁に書かれてある。
痺れました。
確かに駅から歩いて30秒。誇大広告ではないでしょう。
汽車を待つにも風呂に入る。
別府の方々は粋なもんです。
建て屋の造りは木造モルタルでね。
お世辞にも綺麗じゃない。もう築何十年だろう。
でも、戸口の脇には藤棚がこしらえてありまして、そこだけは真夏の熱線をさえぎって涼しげな影をベンチに落としておりました。
たまに温い風が吹きます。
それでも、湯上りなら涼しかろう。
ひとつ湯から上がったら、ここで涼みながら冷たいものでも飲んでやろうか。
そう思って戸口へ向かう。
向かうと昔の映画館のチケット売り場のような木作りの桟で囲われた窓口が目に入る。
歴史ある温泉場は、ここら辺の造りがシャレている。
きっと昔、活気に溢れていた時代が間違いなくあったあかし。
でも今は無人。
入湯料は百円。
ブリキの缶にコインを入れてコンクリの階段を下りる段取り。
浴場は地下です。
「お賽銭をドロボーすると罰が当たります」
そんな張り紙を脇に見ながら、とんとんとーん、と狭い階段を下りていくと、すぐ浴場の入り口に突き当たる。
入り口の扉は、夏だからか、開けっぱなしでね。
ガランと、だだっ広いタイル張りの浴場が目の前に広がりましたよ。
見ると、入ってすぐ右の壁に脱衣棚がドーンとあってね、足元には、すのこが一列、向こうまでズラッと敷いてある。
それだけ。
要するに、脱衣場と浴場の間に仕切りが無いんだね。
ワンルームなの。
実に開けっぴろげ。
おまけに、脱衣場に湯が流れてこないようにと、そこから二段ほど降りたところに洗い場の床が広がるというつくり。
大胆に省略するところはしてるけど、あくまでも快適な空間にしようという配慮が見て取れる。
大汗をかいていたので、さっさと素っ裸になってから、もう一度浴場内を見渡す。
天井が高いからか、気分が清々しました。
高窓からはね、真昼の光が隣の家の壁に跳ね返って浴場全体を控えめに明るく照らしてる。
風も、ほんのすこうし入ってくる。
浴場は、床も壁もタイル張り。昔風のこまかいタイルね。
そのガランと広いタイルの床のまん中に、楕円形の小さな湯船がポツンとひとつ埋めてある。大人が4?5人入ると、もう窮屈かな。
壁にはシャワーもなく、カランもない。
こういうの、昔は戸惑ったけど。
この頃は、こういうところへ来ると楽しくなるのよ奥さん。
慣れたら、こういう、なんにもない造りの方が伸び伸びするようになっちゃった。
さて、ちゅうことで、湯船の脇にあぐらをかいて座る。
腰掛も使わない。
楕円形の湯船の淵は、ほとんど洗い場と同じような高さ。
ただ、石鹸が湯の中に流れ落ちないように、楕円の淵だけが、ほんの少し盛り上がって、こしらえられているだけ。
だから、腰掛使わないで、床に直にあぐらかいて座る高さの方が、湯を汲み易い。
洗い桶で湯船の中の湯を汲んで体にかける。
湯の砕ける音が響きます。
もうひとつ、湯の砕ける音が響きます。
カランもシャワーもないと、こういうスタイルになる。
これが、慣れたら気分が好いのよ。
旅人の気楽さで、普通の人が働いてる時間に温泉に入るものだから他には誰もいない。
独り占めは贅沢の極みでね。
しかも日はまだ高い。
なんだか、時間が止まったようで素晴らしい。
歴史のある温泉場に行ってね、何に痺れるかというと、これです。
時間が止まってるのよ。ほんとに。
そらぁ止まる理由は、経済的な事情とか、いろいろあると思うけど。でも、とにかく設備は昔のままで設備投資は無し。
掃除だけ、してますっていうのが、ホッと出来て、私は大好きなのですよ。
この頃はね、各地に名宿が出来て、物凄い山の中に昔風な凝った造りの高級感溢れるステキな宿が軒並み作られてね、一大温泉地として世間の耳目を集めて一世を風靡してたりするけれど、長旅をする者に、あれは、あんまし楽しくない。
だってあぁいうとこは、田舎にあるだけで、田舎じゃないものね。
来るお客さんは、みんな都会の人ばかりだから。
宿も温泉場の造りも、都会の人が喜ぶ、都会の人が慣れてるつくりになってしまうのよね。
そういうことは、一泊するくらいでは気づかなかったけど。
長旅をしだすとね、旅先で、田舎に遭遇するのが何よりの楽しみになるから、だから、その土地の独特の流儀やデザインに触れられなくなると残念至極。
だから、日本中の温泉宿が、みんなオシャレになってしまうとね、田舎に都会ばかりができてしまうようで、なんだかちょっと残念な気がしてしまうんですよ。
日本中の田舎の温泉地が、みんな田舎の振りだけをして、その実は、オシャレな都会になる。
それが一番寂しいことだと、この頃は思うのです。
湯上りに、うちの奥さんと一緒に、東別府の辺りを歩きましたがね。古い家が空き家になって、どんどん壊されていてね、
この頃は、新築マンションがずいぶん建つんだそうです。
まぁ、しょうがないよね。
さて、札幌は、秋ですよ。
秋は北国ですよ。
そのうち紅葉ですよ。
ではまた明日。
あさってから、また出張なのよ。
■グッズ宣伝
1、「クリアファイル」。
2、ガラス面の裏側から貼れる「番組ロゴステッカー」。
3、ロケで使用した「ヨーロッパTシャツ」(再販売)。
この3点が今週金曜14日から道内HTBグッズ販売店、並びにHTBオンラインショップにて発売開始。
4、「2008年卓上カレンダー」
5、「2008年どうてちょう」。新たな内容(資料?)を追加しての新登場。「カバーはおととし買ったやつをそのまま使う」というケチ・・・シッカリ者の方には中身の手帳単品での販売もいたします。こちらは全国のローソンロッピー端末にて今週土曜15日から予約開始であります。
(16:02 嬉野)
2007年9月11日(火)
2007年9月7日(金)
2007年9月7日(金)
嬉野であります。
今週、夏休みの旅から札幌へ戻って来た日の夜にテレビをつけましたらね、「ストーブのCM」やってましたのよ奥さん。
「ストーブ」よ、「ストーブ」。
9月に入ったばっかりでよ。
信じがたいでしょ。でもそうなの。北海道はそうなの。
北海道の9月というのはねぇ、そういう冬もののCMが始まる季節でもあるのよ。
私のような北海道に暮らす内地育ちの軟弱者には、ある意味、見えない恐怖が忍び寄り始めたみたいな怖ろしい時期なのですよ奥さん。
「冬が着ますよ?」とストーブが囁き始める季節なの。
9月というのはね。
ただね、そんなに「冬が怖い、怖い」と言う私でもね、
去年のように、温暖化で雪のない冬を反対に経験するとさ、
それはそれで寂しかったのよ。
冬の間も地べたが見えたから、それほどには精神が抑圧されなかったのですよ。
で、抑圧されないまま呑気に冬を過ごしたわけです。
で、春が来た。
ところが、春が来てもね、例年のように「春になったんだー!」「雪が融けたぞー!」っていう感動が湧き上がって来なかった。
だって、そらそーさ、冬の間も雪、融けてたもの。
だから早春の解放感に気が狂うほど心踊る感動もなし。
これは、ショックだった。
根雪に閉ざされた冬を4ヶ月も鬱々と過ごした後に訪れる、春の雪解け。
あれほどあった根雪が世間から無くなった時の解放感は、本当に自噴する泉のように自分の中から外へ外へと喜びが解き放たれていくのよ。
体中の全細胞が、ざわざわと大興奮するのよ。
その興奮がね、今年の春には無かった。
だから今はね、
4ヶ月もの長い間、世間を真っ白く、根雪に閉ざしてしまう冬が来ることも怖いけど、
でもそれより、雪のない中途半端な冬が来る方がもっと怖いって思うのですよ。
だって、春を迎える気持ちが堕落するから。
やっぱり人間というのはね奥さん。
自分の力ではどうにも跳ね除けることが出来ない「重石(おもし)」がないと、堕落するのじゃないかしら。
だから、その、せっかくの「重石」を自力で退けられるようにしてしまっては、人間はもう、まっとうには生きていけない。
ぼくらは、そのように作られているのかもしれませんよね。
「重石」だけが、人間に聖なるものがあることを教えてくれる。
いや、聖なるものがあるような気持ちにさせてくれるということかな。
ほら、肉体労働して汗かいたら、わけも無く気持ちが充実するみたいなね、感じですよ。
そんなことをね、なんか思いましたよ。
さて、台風が大勢力を維持したまま今朝ほど関東に上陸して、東北、北海道と、ゆっくり北上しながら各地で大きな被害を出しております。
本当に夏の台風もここ数年、巨大になって怖ろしい限りです。
これ以上、大きな被害が出ない事を祈りまして、本日の日記は終了であります。
では、また来週。
この場所でお会いいたしましょう。
お元気でね。
では、解散。
(15:58 嬉野)
2007年9月5日(水)
2007年9月5日(水)
はい、おこんばんわ。
嬉野ざんす。
九月になって、TOPのお寺も秋めいておりますね。
ねぇ、ということで昨日夏休みを終えまして、妻と旅先で別れまして、一人札幌の我が家へと戻ってまいりましたよ。
いやぁ、九州は暑かった!
ということでね、嬉野は、九州旅行をして参りましたよ。
またもやいろんなものを見ましてね、物思う刺激に溢れた旅でございました。
えぇ、この旅の話をね、ここでくどくどと書いてやろうと思いましたところ、
なんと本日は、奥さん、我々の日記本こと「本日の日記」の発売日じゃございませんか。
ということでね、くどくどとした九州旅日記は、後日ゆっくりさせていただくことにいたしまして、本日は「日記本」の告知をいたしますよ。
ということで告知、告知。
さて、お馴染み「ローソン屋敷」さんでは、本日の日付変更と共に、いの一番で「本日の日記」の受け渡しが始まりました。
しかし、今回は、全国の紀伊国屋書店さん店頭と、札幌では旭屋書店さん店頭にも置かせていただいておりますのでね、店頭でお買い求めいただくことも出来るという段取りでございますよ。
道外のことは分かりませんが、札幌では、かなりの量を紀伊国屋書店さん店頭や旭屋書店さん店頭に積んでいただいておるそうでございましてね、
したが奥さん、なにぶん装丁が日本手ぬぐい仕様のデザインで、色も紺という渋めのものでございましょう、
いかんせん売り場がですねぇ、地味になるばかりということでございましてね、どんどん積んでいただくんだそうですが、地味なものをなんぼ積みましてもですね、地味さが強調されるだけということでね、
先程、土井Pが参りまして、
「賑やかしにポップを手書きで書きなさい」
というアドバイスをいただきましてね、藤村先生と二人で書きましたので、札幌の紀伊国屋書店さんと旭屋書店さん店頭には、そのポップが出るのだと思いますよ、
したが奥さん、いかんせん、この手書きポップも地味ですから、まぁ地味の上塗りといったところだろうと思いますが、それはそれ、これはこれでございますのでね、ひとつ広い心で、売り場にお立ち寄りいただければと思いますですよ。
勿論、道内のOnちゃんショップ販売店にも置かしていただいておりますし、HTBのオンラインショップでも扱っておりますので合わせてご利用いただきたいと思います。
日記本の最後にはね、私の恨みがましい愚痴、いや、あとがきもありますのでね、お楽しみいいただければと思いますよ(笑)。
まぁお読みになればわかります(笑)。
それでは皆さん、台風も近づいてきておりますのでね、気をつけるにもほどがあるっちゅうくらい気をつけてくださいませね。
北海道にも来そうです。怖いです台風。
では奥さん、また明日、
それぞれのご都合の好いお時間にお集まりくださいませ。
それまで、しばし解散でございます。
諸氏の検討を祈っております。
まけるなみんな!
ということでね、
頑張って生きてまいりましょう!
ま、それなりにで好いわけですからね。
(19:03 嬉野)
2007年8月28日(火)
2007年8月28日(火)
嬉野でございます。
だいぶ御無沙汰をしております。
みなさまがた、この炎熱の最中、息災であられましょうか。
ご自愛くださいませ。
いやはや、暑い。
ここは札幌なのにと思うことしきりであります。
少し前からね、わたくしそのぉ、北海道米が美味いと思い始めましてね。いや、もともと米好きでしたから、わりと他県の銘柄米に気持ちが動くところが、これまで、ありましたが、そこはまぁ私も大人になりましたのでね、これだけ美味ければ道産米で充分じゃないか!と、腹を決めていたところでありましたよ。
それに奥さん、野菜も魚も新鮮なものほど美味いわけですからね、米だって近場の米が鮮度が高くて美味いということで好いじゃないのよと、わたくし思い初めておりましたら、本当に美味しくなっていたんですってね、北海道米。
なんだか、この温暖化で、お米に適した気候ってのがね、北海道辺りまで上がって来たんですって話をね、わたし何かの折に耳にしましたよ。
驚きますネェ。本当なんだろうか。
だとしたら暑いはずだよ。北海道。
というね、どうもこの、夏でございます。
えぇ。
原始人というね。
えぇ、いったいいつ頃の方々かも特定しえない、いたってアバウトな呼称をされてる人たちがいますけど。
髪はぼうぼう、ヒゲぼうぼうで、体には毛皮の衣装をまといまして、石で作った矢じりを棍棒の先に結わえ付け、これでもってマンモスあたりを寄ってたかって襲っているイメージが私なんぞにはありますが。
これはずいぶんバカにした話でね。
原始人なんて言うから、自分とはまったく縁のない生き物のようなイメージにとらわれがちですが、なんのことはない、自分の先祖ということなわけでね。
そう考えれば、そんなに今の人間と違いは無いとこの頃、思うのでありますよ。
今と同じ様に恋もしたでしょうしね。
とくに娯楽が無い時代だったでしょうから、恋というものは立派な娯楽だったと思いますし、子供だって可愛がったと思います。
原始人をとりまく社会が、今の我々の社会とは違うのだから、勿論考え方も価値観も違ったでしょうが、能力的なものの差は、そんなになかったろうと思います。
むしろ今のぼくよりは優れていたろうと思います。
かりに、ここにタイムマシンがあったとしてですよ。
過去から原始人を現代日本に連れてくるとするでしょう。
そしたらね、多分、一週間もしたらコンビニで買い物くらいしてますよ、奥さん。
お金出してね、欲しいものだしてね、交換してもらえばいいだけでしょう。退屈したらテレビだって見てると思いますよ。
原始人が現代社会に適応する時間ったら、あなた、あっちゅう間だと思いますよ。
その反対にね、私が、原始時代へ行くとするでしょう。
あっちゅう間にへばって、生きていけなくなると思いますよ。
だって、御飯を食べていく技術が無いですから。
一週間いたってマンモスなんてな襲えませんよ。
少っしも。
ネズミ一匹捕れなかったもの、マレーシアのブンブンで。
そんなことを思います。
原始時代に比べたら、今の日本は、バカみたいに生き易い社会なのだと思いますよ。
お金さえあれば簡単に食べ物が手に入るから。
とにかく食べ物が手に入れば生きていくことができる。
生きていく知識も技術もなくたって、お金があれば生きていける。
生きるということが、たやすく出来てしまう。
だから「生きる」と「食べる」は、もうだいぶ前から日本では同義では、なくなっているのよね。
でも、この世界は、物凄く長い間、「生きる」といえば「食べる」ということだったはずなのよね。
どうすれば食いものが手にはいるか。
そのことが唯一最大の命題だった頃、ぼくら人間の体は出来たんだと、思いませんか、奥さん。
しかし、なんでコンビニにもスーパーにも、いつ行ってもあんなにたくさんの食べ物があるんだろうね。
誰が、どこでどう頑張ってくれているのかしらね。
そういうことも気になります。
でも、原始時代に行ってね、何にもできない人間を前にして、原始人がもし優しくしてくれたら、そんときゃやっぱり嬉しいだろうね。いろんな意味でね。
明日から一週間ほどお休みをいただきます。
またしばらく留守をいたしますが、
みなさんお元気で。
(14:46 嬉野)
2007年8月22日(水)
2007年8月22日(水)
嬉野です。
さて、札幌もまた暑い夏日が戻って来ました。
それと期を同じくしてうちの奥さんも長旅に出ましたね。
九州へ向かうと行ってましたが、結局北海道から九州へ向かえばですよ、戻りも含めたら日本一周になるわけでね、日本一周に出かけましたと言ったら大イベントみたくなりますが、そういう雰囲気は微塵もなく、わりとあっさり出かけていきましたね。
いつも感心するんです。
よく飽きないなと思うわけですよ。
テントを積んでバイクに乗って、一人旅してもう20年ですよ。
途中で飽きて寂しくなって帰って来るわけでなく、どこまでいっても、いつまでたっても一人だけで飽きずに旅を続けるためには、それ相応の能力がいると思うのです。
いろんなものに対して好奇心が無いと続かないだろうなぁとも思うのです。
長旅というのは時間さえあれば出来るというものでもないと思いますからね。
今年は、ぼくも夏休みをとってね、追っかけで、出たとこ勝負で奥さんと合流して二人旅をしようという計画でありますよ。
どこで合流するかは未定です。
いずれにしても9月の本州、まだまだ暑そうですね。
今日はね、仕事で長沼町というところへ行ってきました。
長沼は丘もあり水も湧き、牧場もあり水田もあり畑もあってね、牛もいれば馬もいて、どこまでも広々としてのどかに輝いておりましたよ。
「好いなぁ北海道はぁ!」と、車を運転しながら店長が叫んでおりました。
もうすぐ9月。
これからの北海道も、まだまだ美しいですぞ。
ぜひ、おいでなさいませね。
(18:09 嬉野)
7年前、2000年春。
7年前、2000年春。ぼくらは『原付西日本』の旅で鳥取砂丘に立ち寄った際に、『砂丘レストハウス』という場所で、そこにあった砂を袋につめ、それをバイクに積み持ち帰りました。そして番組内で紹介しました。でもそれは法で禁じられている行為でした。ぼくらはテレビ局に勤めている人間です。知らなかったでは済まされない責任を負った人間です。ですから、今後なんらかのペナルティが出るのであれば、もちろんそれに従いたいと思います。ぼくらは、いけないことをしていたのですから。
いずれにしても、このことで、ぼくらは『原付西日本』という旅を、もう二度とみなさんに、お見せ出来なくしてしまいました。ぼくらのせいです。ごめんなさい。本当にごめんなさい。
水曜どうでしょうディレクター
藤村忠寿
嬉野雅道
2007年8月6日(月)
2007年8月6日(月)
嬉野です。
えぇ、実に困りました。
家に忘れ物をいたしました。
それも、外出時に一番忘れたくないものを忘れてしまいました。
もう発狂寸前です(もちろんウソです)。
何を忘れたか!
老眼鏡を忘れたわけであります。
これは痛い。
もうね、今現在も文字がボヤケテよく見えない。
わたくし、未だに視力は両眼共に抜群に良いわけです。
裸眼で2.0でありますよ。
なのに、手近のものは、全部ボケちゃてボケちゃってまったくクリアーに見えない。遠くのものは良く見えるのにですよ。
アフリカのサバンナで猛獣を見つけるのには適しても、
現代日本で日常生活を営むのは困難。
えぇ、ということでですね。
わたくし現在、字がよく見えないという、モーレツなるストレスの中で、久々の日記を書いておりますよ。
いやもうね、早退したいくらいですよ。
これね、ロケで忘れたらもうその時点でロケ終了ですよ。
あのね、昔はカメラって、ファインダーを覗く式だったから大丈夫だったけど、今は液晶画面しかないですからね、あんなもの老眼男には見えませんて。
なんで年を取ると近くが見えなくなるのかなぁ。
もうね、この世に凸レンズが無かったらですよ、わたしは既に本も読めなかったはずなんですよ。
これを思うと恐ろしい。
凸レンズを発明してくれた方に感謝。
全国の眼鏡屋さんに感謝ですよ。
個人差があるようですが、私の場合、40歳を過ぎた頃から老眼が始まりましたね。
2000年の早春にロケに行きました「四国八十八ヵ所2」のね、編集してる時に、「おや?」と思った記憶があります。
うちの奥さんは、昔からメガネの人で、それででしょうか、やたらと鼻が利く人で、匂いに敏感。
反対にわたくしは、言いましたように昔から眼が良いからか、鼻が利きませんで、匂いには鈍感なわけです。
人間というものは、かくのごとく、ひとつの欠点を他の能力向上でで補うところがありますね。
そして、ものごとの出発点というのは大事なもので。
最初からクリアーに見えてた者にとって、視界がクリアーに見えないという状況は物凄く不安ですね。
馴れや経験というのは、人生においてとても大事だと思われますね。
もうね、何の話をしているのかよく分かりませんなぁ。
字も良く見えないし、この辺で本日は終了、また明日。
あぁぁ、そしてね、弁当を持ってきたのに箸を忘れましたよ。
あのね、もうね、ほんと、マジで早退したいくらいですよ。
ほんとにね、とほほな日ですよ。
くくく(泣)。
【日記本「水曜どうでしょう本日の日記」予約受付中!】
全国のローソン店頭ロッピー端末さんに打ち込みます商品番号は
057711(まるこ なかなかいい)←暫定語呂
長年ホームページに書き綴られては消えていった日記の数々、それが今再び本となってよみがえる。今回はその第一巻ということで、2002年7月ベトナム縦断のロケに出発するところから始まり、10月の番組最終回を経て、翌2003年3月のDVD第一弾発売までの波乱万丈期の日記を収録したものであります。
【DVD全集第9弾予約受付中!】
「北海道212市町村カントリーサインの旅2」と「サイコロ4」の2本立て!
発売日は、9月26日(水)!
ネット通販の「HTBオンラインショップ」及び北海道内の「HTBグッズ販売店」にて同日より発売開始。
道外にお住まいの皆様方、ネット通販をご利用されない皆様方には、全国の「ローソン店頭ロッピー端末」にて予約受付。
予約開始日は6月1日(金)午前10時から!
また、DVD第8弾「激闘!西表島」の追加予約も同日より受付スタート。こちらの受け渡しは8月15日(水)となっております。
(13:11 嬉野)
2007年7月20日(金)
はい、嬉野です。
先週の金曜日に、藤やんが、東京のエスカレーターの話をしてましたね。
「どうして左側にだけビッシリならんで右はガラ空きなんだ」と。
「混んでる時に、おかしいじゃないか」と。
確かにね、あれは異様と言えば異様な光景かもしれん。
でも、片側がガラ空きだからこそ、急いでる人は、どんどん急いで昇って行ける。
事実、数分の遅れが「電車や飛行機に乗れる・乗れない」の明暗を分けたりするからね。
急ぎたい状況の人は、それはもう急ぎたいのは無理のないところだと思う。
だから、つまりあれは、
「公共の場でのエチケットなんだ」と。
「ゆずりあいなんだ」と。
そういう意見も掲示板にありました。
まぁ、ぼくも、東京では左に寄って乗るようにしてますね。
でもそれはね、エチケットというのではなくて、うかうか右に乗ってると煽られるから。
つまり「急いでないお前が空いてる方に乗ってるのは間違っているんだぞ」と、後ろから圧力を掛けられるから。
それが面倒だから、皆がビッシリ並んでる左側に皆と同じように大人しく乗るようにしている、ただそれだけの話で。
急いでる人に気を遣ってというのではなく、気が立ってる人の邪魔にならないように、とにかく係わり合いになりたくないから、という、そんな消極的な思いに過ぎないような気がする。
皆も、そんな感じで、とくに「何故?」ということを考える気にもなれず、なんとなくギッシリ並んでる方に、あたり前に大人しく並んでるんじゃないのだろうか。
だってギクシャクしたくないから。毎日の事だから。
まぁ中には、ひょっとするとね、
「自分も急いでる時にガラ空きのところを駆け上がって、飛行機に乗り遅れないで済んだ経験があるから、そんな人の為に、自分が急いでいない時は率先してギッシリの左側に乗るようにしてます」という人もいるのかもしれない。
でもまぁ、その辺りの理由は何にしろ、確かに大人しく左に寄って乗ってれば、誰からも圧力を掛けられず、なんの問題も発生しませんし、片側を急いでる人のために空けるという、あのシステムは一見うまくいってるようにも見えるから、ひょっとするとこのままで好いのかもしれないと思ってね、みんな黙々と左に寄って乗ってるのかもしれない。
都会のエスカレーターではね。
どーもそんなこと、たいして考えてもいなかったからね。ぼくも。
藤村先生に言われて、そう言えば、自分もそのシステムに従っているなぁって改めて思ったくらいですよ。
昔はね、階段が併設されてたから。
急いでる人は階段を駆け上がっていたね。
(まぁ、もっと昔は階段しかなかったわけなんだけどね。)
ところがある時代から、階段が無くなって、エスカレーターだけの所が出てきた。
あれは多分、東京の地下鉄がどんどん深い深い地下へ作られるようになってからのことではないのかな。
新御茶ノ水とかを皮切りにね。
そんな深いところへ客を下ろしたり上がらせたりするのに階段は現実問題きついだろうし、階段なんかあっても誰も利用しなくなるだろうから、階段は無駄だということでね、エスカレーターだけにして、階段を併設するのを止めたのかもしれない。
つまり、「エスカレーターの片側を、急いでいる人の為に空ける」という都会のマナーは、そんな都市の状況の変化が生み落として行ったものなのかも知れないね。
1980年代から、駅のエスカレーターに、
「急いでる人の為に右側を空けましょう」
みたいな張り紙がされ始めたような記憶があります。
だから、駅の指導で始まったことだというのは間違いないと思うなぁ。
「けんかエレジー」という面白い日本映画がありまして。
もう40年以上も前の映画ですが、監督は鈴木清順さん。
主演は高橋英樹さん。
時代設定は戦前の日本。昭和10年頃なのかな。
高橋英樹さんは、旧制中学の生徒でね。
昔の中学は5年制だったから、中学5年生は17歳なんだけど、それでも高橋秀樹さんの中学生とうのは、当時でも既にずいぶんヒネタ中学生でしたね。
ぼくはその映画をテレビで見ました。
高橋英樹さんは、とにかくケンカ早い男の子の役で、正義感が強いんですね、おまけに腕っ節も強い、それで自分は悪く無いんだけど、ケンカ、ケンカで問題ばっかり起こすもんだから岡山の中学にいれなくなって、田舎の中学へ親戚を頼って転校するんだね。
で、ちょと大人しくしてる。
すると地元の中学生は、「あいつ都会者づらしてやがるなぁ」、ということでね、高橋英樹さんに、何かと、ちょっかいかけるわけです。
ある日、高橋英樹さんが、往来の端を大人しく歩いていると、前方から上級生がやって来る。そして、往来の隅を歩いていた高橋英樹さんに絡むんですね。
「おい!お前!何をいじましく道の隅を歩いとる!男は男らしく、もっと堂々として、いつも道の真ん中を胸を張って歩くもんじゃ!」と。
すると高橋英樹さんは、「ポカンとした顔をして」言うんですね。
「ほなら、あんさん、前から犬が来たらどうします?」
「犬なんか、オレのまたぐらくぐって行くべッちゃ!」
「そしたら人が来たらどうします?」
「ふん!相手の方で恐れをなして、オレを避けて行くべッちゃ!」
「そんなら戦車が来たらどうします?」
「戦車…」
上級生は言葉に詰まるんですね。
「戦車が来たらどうします!」
「せ、戦車が来たら、そん時は、轢かれんように、道の隅っこを歩くっちゃ!」
すると高橋英樹さんは「ほーらみろ」とう顔で言うわけです。
「あぁそーですか!弱い者が来たら威張り散らして、強い者が来たら小さくなる。それがあんさんの言う、男らしさちゅうーもんですか!」
それを見てて、中学生のぼくは、「理屈というものは面白いなぁ」と感じたわけです。
確かに「男らしくしろ!」という、理念としての理屈もある。
でも、じゃぁ男らしさって何よっていう根本的な問題が出てくる。
男らしさにも百人百様、いろいろあるでしょう。
「常に堂々としていること」。それが「男らしさ」だと言われれば、そうかも知れないと思ってしまうぼくもいたわけです。
でも、戦車が来たら堂々としてられないで道の脇を歩くようなら、初めから大人しく道の脇を歩いていれば好いじゃないですかという、高橋英樹さんの理屈は、物事の根本まで沈潜したようで、物凄くスッキリする理屈に思えたのですね。
なるほど、つまり自分の限界を知った上で、常に行動するって、すごくスッキリしてて好感が持てるものだなと、そのシーンを見て子供心に感心したわけですね。
「限界があることを知るのって好いもんだなぁっ」て。
だからもし、東京の新しい地下鉄がもっともっと、もーっともーっと深い深いところに出来るようになってね、それこそ5キロも10キロもエスカレーターで降りていかなければならなくなったらですよ、それでも、急いでる人の為に片側を空けておくのって意味があるんでしょうかね。
たいがい急いでる人でも、そんな長距離のエスカレーターを駆け足で上り下りするのは、幾らなんでも、しんどすぎるのではないでしょうか。
「何十分急がされるのよ」、ということですよ。
でもまぁね、それは極端なたとえ話でして、現実はそんなことにはならないでしょうが、
でも、急ぐ急ぐと言ったところでね、所詮は程度問題なのだろうなということだけは確かな事のような気がします。
まだね、現状のエスカレーターの長さが、駆け下りたり駆け上がったり出来る長さだから、急いでいる時は、駆け上がりたくなるし駆け下りたくもなる。
「出来るのに」って思ったら、出来ない状況に我慢がならないと思ってしまうのが、多分、ぼくら人間共通の心理なのだと思います。
だからね、「とてもじゃないが、この距離を急いで駆け上がり通す自信は無い」と納得したら、その時はもうね、駆け上がったりしないで、みんな大人しく左右均等に肩を並べて立ってね、エスカレーターに黙って上まで連れてってもらうのだろうなと思うわけですよ。
そしてね、そうやってだまって乗ってるぼくらを、勝手に上まで乗せていってくれるのが、エスカレーターの本来の役目なんですものね。
エスカレーターって、そういう機械なんですものね。
そういう話をね、だいぶ前ですが、
「トリビアの泉」で、やってましたよ。
「エスカレーターは片側だけに極端な負荷を掛けて乗るようには作られていません」
「片側を空けて乗るのは故障の原因になりますから止めて頂きたい」って、
メーカーの専門家の方が言ってましたね。
御出演のみなさん、盛んに「へぇへぇ」叩いておられましたよ。
私ら夫婦も「へぇへぇ」思いましたよ。
「エスカレーターを駆け下りたり駆け上がったりするのは、特に危険ですからお止め下さい」とも専門家の方は言ってました。
誤ってエスカレータで転がり落ちたりすると、ほら、あれって角がギザギザしてるからさ、大怪我してしまうらしいんですね。
だから、「都会のエチケット」がどうあれ、
エスカレーターを作った人たちは、片側だけ空けたりしないで、左右均等なバランスで乗って、昇降中は大人しく手すりにつかまって乗っている人たちを想定して、エスカレーターを設計しているのは、間違いのない事実。
だから、「トリビア」を見た翌日、ぼくも札幌駅のエスカレーターに、左右に並んで乗ったけど、やっぱり後方からの圧力を感じたな。
で、やっぱり止めた。
専門家の勧める通りに乗った方が「正しい」のだと思うのだけど、現状大事故も起きてはいないし、今後も起きないのかもしれないし、だから、とりあえず一見うまくいっているようにしか見えない暗黙のシステムは、なかなか変えられるものではないでしょうね。
世の中というものは、そうしたものなんだと思います。
専門家が「正しく乗ってくださいね」と呼びかけても、それが余ほど切実な声にならない限り、誰だって「大丈夫だよ」って思ってしまうだろうしね。
でも、いつか、どこかで大事故が起きたら、
つまり長年、片側にだけ負荷を掛けてエスカレーターに乗り続けていたものだから、そのことが原因で、ある時、下りのエスカレーターが不意に停止してしまったら。
その時、駆け下っていた人は勿論、大人しく乗っていた人たちもつんのめってしまって、手すりにつかまっていた人たちも、後から後から人が雪崩のように落ちてくるものだから、堪えきれず落ちて行って、大惨事になってしまう。
そんな事故があれば、その事故を知った瞬間から、もう誰も急いでいる人の為に片側を空けようなんて思いもしなくなるだろうね。
でも、そんな事故がもし起きたら、
それは誰のせいなのか。
そうね。
多分、責任は、ぼくらみんなにあるんだろうね。
危ないと分かっていた人も、なんとなく違和感を感じていた人も、急いでる人の為に片側は空けるものだと信じていた人も、多分、みんなに責任がある。
ぼくらが、老人になった時にね。
「あぁ、昔はよかったなぁ。」
「なんて、今はヒドイ時代なんだろう」って。
そんなことを思ってしまうような時代だったら。
その時、そんな時代になっていたら、
それは、ぼくら全員の責任だったんだな、ということだと思います。
未来は、ぼくらが作ってるんですよね。
毎日ほんの少しずつ。
昨日も今日も。
ぼくらが少しずつ作ってる。
それと気づかないうちに、つくり始めている。
もうずっと昔から。
なんか、そんな気が、今、不意にしました。
【日記本「水曜どうでしょう本日の日記」予約受付中!】
全国のローソン店頭ロッピー端末さんに打ち込みます商品番号は
057711(まるこ なかなかいい)←暫定語呂
長年ホームページに書き綴られては消えていった日記の数々、それが今再び本となってよみがえる。今回はその第一巻ということで、2002年7月ベトナム縦断のロケに出発するところから始まり、10月の番組最終回を経て、翌2003年3月のDVD第一弾発売までの波乱万丈期の日記を収録したものであります。
【DVD全集第9弾予約受付中!】
「北海道212市町村カントリーサインの旅2」と「サイコロ4」の2本立て!
発売日は、9月26日(水)!
ネット通販の「HTBオンラインショップ」及び北海道内の「HTBグッズ販売店」にて同日より発売開始。
道外にお住まいの皆様方、ネット通販をご利用されない皆様方には、全国の「ローソン店頭ロッピー端末」にて予約受付。
予約開始日は6月1日(金)午前10時から!
また、DVD第8弾「激闘!西表島」の追加予約も同日より受付スタート。こちらの受け渡しは8月15日(水)となっております。
(19:53嬉野)
2007年7月19日(木)
2007年7月19日(木)
今週、藤村先生は、お休みです。
ですから、本日も嬉野であります。
デスク周りが散らかり過ぎたので、
ちょっと掃除しようかな。
じゃ、また(笑)。
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(12:37 嬉野)
2007年7月17日(火)
2007年7月17日(火)
嬉野です。
掲示板にこんなお便りが寄せられていました。
「去る7月3日に、うちの夫が突然亡くなり、
こんな奴がいたんだなぁと皆様に知ってほしくてメッセしました。
うちの夫とはこの「水曜どうでしょう」の「カチッ」ジッポがきっかけで会話でき、結婚までいったほどの夫婦共にどうでしょうマニアでございました。
亡き夫は学生時代、聖地HTBすぐそばに住んでおり、
前枠撮りをしているのを見たことがあるよと、
よく私に自慢しておりました。
夫と二人、三井グリーンランドの大鈴トークショー始め、
どうでしょう祭りは子連れで参加。
どうでしょう祭りでは、カリスマスタイリスト小松さんとツーショット写真も撮ったりと、どうでしょう=夫との思い出満載なのでございます。
どうでしょうを大好きだった亡き夫を、少しでも皆さんの心に留めていただけたら幸いと、ここに書き込みしていきます。
今は、3歳の息子がどうでしょう、オフィスCUEマニアのエリート2世になっております。これからは、息子と私で一生どうでしょうしていきますので、皆様も益々ご活躍してくださいますよう、
影ながら応援させていただきます。
文章がまとまらなくてすいません。」
どんな悲しい現実だって受け入れていくしかないんだもんね。
生きてくことって、そういうことなんだもんね。
生きていかなきゃなんないもんね。
心の中でだけかも知れないけど、
それでもね、
いろんな人が、今この時大変な現実に直面してる、
いろんな人のことをね、
きっと応援してくれているのだと思います。
がんばってくださいっ、てね。
そう思います。
では、また明日。
旦那さんのご冥福をお祈りします。
寂しくなるね。
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(20:41 嬉野)