2013年1月21日(月)

嬉野

2013年1月21日(月)
嬉野です。
先日テレビでHONDAさんで開発されてます
新世代ロボットのアシモくんを見かけました。
見かけて「あ。アシモくんだ」と思いました。
ビジュアルが変わらないってことはそういうことですよね。
確かアシモくんを初めてみたのはバブルの頃か、
バブルがハジケた頃だったか、とにかくなんだか、
いずれにしても20年くらいは前のことだったように思います。
それなのに、先日テレビで見たアシモくんは、
あの頃と変わらない、つまり白い宇宙服をきたままのような姿で、水筒のスクリュー式のキャップを回して回して
開けようとしていました。
とてもゆっくりとした動作なんですが、
その手つきがとても丁寧なのが私の心を打つのか、
私は見とれていました。
いつしかアシモくんは水筒のキャップを見事に開けると
そのキャップをテーブルに置き、
かわりに今度は紙コップを手にして持ち上げると、
自分の胸の前でその紙コップに水筒の中身を
上手に注ぎ始めました。
そうして注ぎ終えると
紙コップをまたテーブルの上に置くのでした。
そのゆっくりとした丁寧な動きが、とても優雅に見えました。
屁のツッパリにもならないような薄い紙のコップを
機械が握り潰さずに持ち上げる、
そのことが既にどえらいことなのだそうです。
ナレーションがそう語っておりました。
でも、見ている私は、
いつの間にかアシモくんを擬人化しておりますので
「ふーん。でもアシモくんだったら、そのくらいできそうだよ」と思ってる。
ナレーションがさりげなく日本のロボット技術の
桁外れなレベルの高さを伝えようとしても、
機械を擬人化できてしまう私という日本人の
妙な自己暗示が邪魔をして、
一番驚かなければならないところを当たり前に見てしまう。
外国の方にはあまりみられない日本人に特有な感情なのかもしれないですね。機械でも擬人化してしまえるという。
アシモくんは、走ることも出来るのだそうです。
その時、瞬間的に両足が接地してない瞬間があるのだそうです。
これも機械の動きとしては素晴らしいものだそうです。
そらそうです。
他にも、歩くとき、アシモくんは人をよけて歩くのだそうです。
その実験をしていました。
向こうからアシモくんが歩いてくる。
手前から人が歩いていく。
進路が重なっている。
そのことが分かるとアシモくんは脇へ方向修正してまた歩き出す。
そのよけたアシモくんの進路を人がわざとふさぐ。
アシモくんは、また立ち止まり進路を方向修正すると歩き出す。
その進路をまた人がふさぐとアシモくんはたちどまり方向修正してまたあるきだす。
進路をふさがれて立ち止まる時、
アシモくんは、心持ち顔をあげて人の顔を見上げるような動作をしてから方向修正をするのです。
その動作が、いちいち人間くさいのです。
アシモくんは人間より小さい。
子供のような背丈しかない。
だから見上げてしまう。
だからなおさら愛らしく見えてしまう。
そこに動いているのは機械であるにも関わらず、
そしてその機械には心が無いにも関わらず、
私は、人の進路をよけて歩こう歩こうとするアシモくんの動きを見るうちに、勝手に機械の中に善良で控えめな心を見てしまうのです。
機械のプログラムがそうさせるのに、
機械の中に育まれた善良な魂がそうさせるように思えてしまうのです。
新世代ロボットに興味を持ってしまう私ですが、
それは驚異的なロボット技術にではなく、
日本人が作る新世代ロボットの動きの中に、
善良な人の心を見るからなのかも知れないとも思ったのです。
アシモくんは、まだ実用段階ではないのだそうですが、
既に実用化されているロボットもあるのだと紹介していました。
それは広い広い病院の薬局からナースステーションまで薬を運ぶ仕事をするロボットなのだそうです。
そのロボットは箱型ですからアシモくんのような人型ではないのですが、モニターにゆるキャラのような顔が表情を変えるので擬人化でき、しかもアシモくんと同じく人をよけて移動するので病院のスタッフや小児科に訪れる子供たちにも好かれているらしいのです。
院内の薬局からエレベータに乗って7分くらいの道のりをナースステーションまで薬剤を運ぶのです。
スタッフは「助かるわぁ」と喜んでおりました。
でも、薬を運ぶくらいなら、
なにもロボットを作らなくてもおっさんにでも出来るわけです。
「おっさんにやらせてくれ」
とも私は思うわけです。
誰にでも出来る単純作業は生きていく上での最期の砦です。
それをロボットに取られては、いざという時おっさんはどうするのです。生きていけないではないですか。
「うちはロボットがいるから間に合ってるの」
「ロボットの方がおっさんより可愛いし」
「もんくも言わないし」
「酒もたばこもやらないし、電源OFFれば大人しくなるし」
おっさんに勝ち目はないのです。
でもロボットは、
おっさんが生きていけないような酷い環境でも作業が出来る。
今はまだ、よちよち歩きのように見える新世代ロボット。
つまり、よちよち歩きしか出来ない段階だから、
その動きが善良で控えめで愛らしく見える。
けれど、やがて目覚ましい身体能力を獲得し、
スピード感も素晴らしく活動できる新世代ロボットが誕生する時。
ぼくらはアシモくんを、もうアシモくんなどと、目を細めながら見つめる余裕はないのかもしれない。
人間とロボットは、この先にある近未来で、
どう共存していくのだろうか。
そして、おっさんはこの先、
どう生きていくことになるのだろうか。
おっさんには、これからの時代は、
実に悩ましい時代なのである。
ねぇ奥さん。そういうことでしょう。
では、諸氏。
本日も各自の持ち場で奮闘願います!
解散。
2013年1月17日木曜日。藤村でございます。
年明けからDVD第19弾「試験に出る石川富山/四国八十八カ所?」を編集しております。現在、本編の編集を終えて、特典映像を作っておるところでございます。今回は特典映像がかなり多い!お楽しみに。
お知らせをいくつか。
ひとつめ!
昨年「結局、どうして面白いのか〜水曜どうでしょうのしくみ」という本が刊行されましたが、その著者である九州大学の佐々木先生に、「どうでしょうの複雑なしくみ」について、「実際に授業をしてもらおう」というイベントが、来月17日に開催されることとなりました。
いわば「どうでしょう学」の授業ということですね。もちろん私と嬉野先生も参加いたします。
『結局、どうして面白いのか─「水曜どうでしょう」のしくみ』刊行記念トークライブ   
“それで…結局、どうして面白いのか”
応募方法などは・・・
http://www.tvu.co.jp/product/kekkyoku/
テレビマンユニオンHPの「NEWS」で詳細をご確認ください
ふたつめ!
今週土曜日19日は、藤村がテレビ埼玉さんにおじゃまいたしまいて、読売テレビの西田二郎Pと「テレ玉について考える」というトークイベントをやってまいります。こちらはすでに観覧応募は終わってまして、定員の10倍の申し込みがあったとのことでございます。当たった方は、土曜日にお会いいたしましょう。
3つめ!
現在、北海道だけで放送されている「クロス×バトル」。韓国のアイドルグループ「クロスジーン」とナックスリーダー森崎博之が織りなすバラエティー。でも結局べらべらしゃべっているのはディレクターの私という、どうでしょうのスピンオフ的な番組。
こちらが道外ではじめて、神戸のサンテレビさんで放送されることになりました。
放送は2月3日から。毎週日曜日の夜10時から!
ありがとうございます。いい時間です(HTBなんか深夜2時過ぎに編成しやがるもんですから誰も見やしねぇ)。
日本も中国も韓国も、なんだか小さなことで浮き足立っているようですが、こういう時こそ、「なんだぁー韓国人も中国人もみんな一緒じゃん!」と笑ってすませられるようなこの番組「クロス×バトル」を、関西のみなさん、ぜひともご覧ください。
では、引き続きDVDの編集に入ります。
諸君、また!
【藤やんうれしーの悩むだけ損!】
ネットサイト「電撃オンライン」にて月2回のペースで「お悩み相談」を執筆しております。
(17:08 嬉野)