2008年1月11日(金)

嬉野

2008年1月11日(金)

はい、みなさん。
嬉野です。

来週1月19日から、大阪のABCさんで、去年、放送しました新作「ヨーロッパ20ヵ国完全制覇」を放送していただくことになりましたので、忘れないうちに、ご報告させていただきますですよ。関西のみなさま、どうぞよろしく。

そして来週火曜日1月15日より!
DVD第10弾の予約が開始でございます。
こちらも合わせまして、よろしくお願いいたしまする!

ということで、今日は「わかんない」話をひとつ。

夫婦になりますと、どなたも御夫婦でケンカをなさいますね。
それも案外、大したことが原因ではなかったりする。

「返事をしない」とか、「した」だとか。
「スプーンが歯に当たった音がした」とか、「しない」とか。
「洗剤を使う量が多い」とか、「多くない」とか。

やっぱり好き合って一緒になった夫婦といいましても、二人とも好い年をした大人ですから、二十年以上の時間をかけて、それぞれの家庭のそれぞれの流儀を自然と身につけて成長した他人なわけです。

それが、いまや、ひとつ屋根の下で共同生活を始めるわけですから、気がついてみるとおたがい、いろんなことが気に掛かる。
でもって、取るに足らないようなことを、意外と人という者は深刻に気にするものだと言う事実に、あらためて直面する。それが結婚の現実ですな。

つまり、人には、
とくに意味もなく許せることと、許せないことがあったりするということです。

「好いじゃないか、そんなのどっちでも」
というよなことが、当人にとっては案外と深刻で、譲れなかったりする。

だからきっと、その一見どうでもいいようなぶつかり合いが、積もり積もって離婚の原因になっていくのかもしれないと、私は思ったりするわけです。

立派な思想信条でもって、ぶつかりあって離婚する夫婦はいないんじゃないのか。
だって、そんな大きな問題を抱えてる男女なら、初めから結婚したりするはずがない。

私だって、昔はうちの奥さんと盛んにケンカしておりました。
で、大体がつまんない理由だったと思うんです。
だって、何が原因であの時ケンカしたかなんて、今、なにひとつ覚えてないわけですから、いずれにしたって大したことが理由じゃないということです。
要するに双方の主張のし合いです。

で、具体的じゃないことを例えに出して、ここでみなさんにお話するのもと思うんですが、仕方がない。とにかくその時、私ら夫婦が、もめたとお思いください。

その時、私には、まったく自分が間違った対応をしたとは思えなかった。
だから何としても譲れなかった。この辺りが揉めた原因だったと思います。

「いい?こういう状況だったから、オレはこういう対応をしたわけでしょ。だからこういう結果になって、そのことに何の不都合もない。わかるよね」
こういう具合に、私は、うちの奥さんに理路整然と状況をおさらいするわけです。

「そうね。たしかにそうね。よぉく分かった」
という言葉を、私は当然のこととしてうちの奥さんに期待するわけです。

ところが、うちの奥さんは、私が期待する言葉をまるっきり吐かない。
それどころか、ただひと言、いうわけです。

「わかんない!」と。

それを聞いた私は、内心憤るわけです。
(分かんない?分かんないってどういうことよ、これだけ説明して、なんでこんなに簡単な理屈がわかんないのよ)。

私は、またも根気良く、話せば分かる内容だと強く思い直して、前にも増して、状況を丁寧に説明していくのです。その作業でこっちはもうへとへとになるくらい。
でもって、何遍も何遍も説明してるから、こっちが間違ってないことがますます明らかとなって、どんどん自信が湧いてくるほど私は間違っていないのです。
だから今度こそ、「そうか…」とうちの奥さんがしおらしく納得してくれるはず。

ところが、うちの奥さんは、またしても言うわけです。

「わかんない」と。

「なぁんでよぉ!何でわかんないのよぉ!」

もうね、エンドレスなんです。
私が幾度、説明を繰り返そうと、水平線の向こうに昇った巨大な疑問符のように、うちの奥さんの「わかんない」の一言の前に、理屈の全てが瓦解するわけなんです(泣)。

結局、何の解決も見ず、
ただ、私の声だけが、説明の度にどんどんデカクなるばかり。

で、その日。
この夫婦のいさかいが、どのあたりで決着を見せたか、
そのことはもう思い出すこともできませませんが。

ただひとつハッキリと覚えているのは、
その夜から、この亭主は、考え始めたということです。

「こんな簡単な理屈、なんで、わかんないんだろう?」と。

来る日も来る日も、亭主は、ぼんやり考えて、
やがて、ひとつの結論にたどり着くのです。

あの時、女房が、「わかんない」と言い張ったのは。
亭主の理屈が分からなかったからではない。

ただただ、理屈を分からせようとしていた亭主の気持ちが、女房にはわからなかったのかもしれない。「わかんない」というのは、そんな亭主に対する女房の答えだったのかもしれない。

理屈なんてどうでもいい。
だれが正しいとか正しくないとか、どうでもいい。
あなたは、どうしてそんに大きな声を出して私を責めるの。

そのことが、あの時の女房には、悲しかったのかも知れない。
だから「わかんない」としか言えなかった。

その結論にたどり着いた時。
なんだか、私は、ぼんやりしました。

どっちが間違ってるとか、間違ってないとか。
どっちが正しいとか正しくないとか。
そんなことに、本当は、たいした意味は無いのかもしれないのに。

そんなことより、もっと大切なことがあるはずのに、
そのことに、少しも気づこうとしない。

本当は、自分だって、心の底では求めているものなのに、
そのことに、少しも気づこうとしないでいる。

ぼくらが、本当に、求めているものは何なのか。
ぼくらに、一番大切なものは何なのか。

そのことをね、
ここに書いてしまった瞬間に、
それは、あっという間に、つまんないものになりそうなので、
書きません。

言葉にした瞬間。
あっという間に、つまんなにものになってしまうような、
そんな頼りないもの。
そんな頼りない、つまんないものが。
本当は、ぼくらにとって、一番大切なものなのかもしれない。

そんなもののあることに、あの日、亭主は、ぼんやりとたどり着いた気がしたのです。

だからね奥さん。
「わかんない!」と、ご亭主に言ってあげることも、
意外と大事なことかも知れませんよ。場合に寄ってはね。

だって人間は、考えるきっかけを与えてもらえないと、死ぬまで考えないで終わるものですから。

分かったような、分からない話だったかしら。
まぁ、好いね。

それでは、本日はこれにて終了。
また来週、ここでお会いしましょうね。

三連休ですから、ちょっと御無沙汰になりますが、元気に生きていてください(笑)。
では、解散!
また来週!

【DVD第10弾まもなく予約開始!】
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(19:01 嬉野)