10月20日金曜日。藤村でございます。

藤村

10月20日金曜日。藤村でございます。
「渋谷小祭」の際に、私と嬉野先生は仕事をサボっ・・・息抜きのために会場を抜け出して、「フラガール」を見に行き、ふたりで大いに号泣した、というお話をいたしました。
あのお話には、続きがございます。
「フラガール」にいたく感動したわたくしどもは、目の周りを多少赤く腫らしながら、映画館の下にあった喫茶店に入りました。
「うーん・・・実によかったですなぁ」
「まったくです」
「話自体は、ありきたりな感じがしますのになぁ」
「泣きましたねぇ」
「どこが他の映画と違ったんでしょうか・・・」
ひとしきり映画の感想、分析を熱心に語り合っておりました。
「ところで、『ゆれる』もここでやってますもんね」
う先生がおっしゃいました。
この「ゆれる」という映画も評判がよく、「フラガール」同様、先に観た四宮Pも絶賛しておりました。フラガールの隣のスクリーンで公開中であります。
「今日まで、って書いてありましたな」
しかし残念ながら、今日が最終日。
「今日で終わりですか」
う先生はかなり落胆されました。
「先生、失敗しましたね。今日『ゆれる』を観て、明日またサボって『フラガール』を観に来ればよかったですね」
「今日・・・観ますか」
「あ?」
「このまま続けて『ゆれる』も観るというのはどうでしょう」
「先生、それはいくらなんでもマズイんじゃないですか?」
大胆にも、う先生は会場に戻らず「このままもう1本映画を観てしまおう」とおっしゃる。
「四宮さんには、2時過ぎには戻るって言いましたからね。これで『ゆれる』も観ちゃったら、もう夕方になりますよ」
「でも、今日までしかやってないんですよ」
「まぁ・・・そうですなぁ」
「もう観れないんですよ」
「んー・・・観ますかぁ?」
「観ましょう!」
「じゃ先生、四宮さんにメールしなさいよ」
「え?」
「黙って夕方まで帰らなかったらマズイでしょ。メールしなさいよ」
「え?おれが?」
「こう、さぁ、フラガールで号泣いたしまして、このような泣き顔でお客さんの前に出るのは気が引けます、みたいなこと書いてさ、先生得意でしょそういうの」
「・・・おれが書くの?」
「書きなさいよ」
先生はしぶしぶメールを打ち始めた。
四宮さん絶賛の「フラガール」を先ほど拝見し、現在、藤村嬉野両名、溢れる涙を止めることかなわず、かくなる上は四宮さん絶賛の「ゆれる」も立て続けに拝見し、乱れる心をいったん鎮めまして・・・
みたいな、不可解なメールを打った。
「かくなる上は・・・って先生、まったく意味がわかりませんが、しかしどこか悲壮な決意のようなものを感じますな。さすが」
そのまま四宮Pに送りつけ、結局ふたりして「ゆれる」も観てしまったのでありました。
「フラガール」の後味の良い涙とは、まったく対極にある映画でありまして、最初はかなり戸惑いましたが、しかし、いつしか「映画の中に入っていく」ような感覚で、最後まで緊張して観てしまいました。
こちらも、良い映画でございました。
映画館を出ますと、渋谷の街はすっかり夕闇に包まれておりまして、藤村嬉野両名、明日はしっかり働こう!と、思いを新たにしたのでございます。
しかしながら翌日も、朝から大行列を作る関東勢の熱き血潮に気おされまして、藤村嬉野両名、またしても会場から逃げ帰り、えー・・・映画を、観に行ったのでございます。
しかし、この日観た映画はイマイチ。
「なぜこういう映画になってしまうんでしょう」
「原作はよかったんですよ」
「いったいどういう話だったんですか」
それから、けんけんごうごう、喫茶店で映画談義に花を咲かせ、気がつけば2時間あまり。
「これならもう1本映画を観れましたよねぇ」
「まったくです」
と、意味不明な反省の弁を残しまして、この日も夕闇迫る渋谷の街を会場へと急いだのであります。
おかげさまで東京では、ずいぶんと嬉野先生とお話をいたしました。
それもこれも、元をただせば、関東勢諸君の暑苦しいばかりの、逃げ出したくなるばかりの絶大なる熱気のおかげ。
この場をお借りしまして、あらためてお礼を申し上げる次第。
「諸君のおかげで映画を3本も観れました。ありがとう!」
というわけで、本日の日記これまで。
諸君、良い週末を。
北海道は、紅葉が真っ盛り、キレイですよ。
(18:47 藤村)