2006年4月14日金曜日
2006年4月14日金曜日
嬉野でござりやす。
ぼやぼやと、思いつくところを書いて行きましょう。
何処へ流れ着くかはわかりませんので、お暇な方だけ、どうぞ御付き合いのほどを。
さて、安田くんは、映画『男はつらいよ』のDVDを全部持っているそうですね。
「どうでしょう本」の『今日のOnさん』のインタビューの時も、彼からは、寅さん映画の話をよく聞かされます。
彼は、映画「男はつらいよ」のなかに漂う何かにひどく心打たれているようなのです。そして、そのことに慰められ、勇気付けられてもいるようなのです。
10年ほど前、ぼくがまだ東京で暮らしていたころ、同じようにレンタルビデオ屋から「男はつらいよ」ばかり借りて観ている友達がいました。
大手製薬会社の営業をしていた彼は、
「映画は、寅さんがいちばん面白いんだ」と言うのでした。
仕事を終え、家へ帰り、晩飯を食った後、ビールを飲みながら観る。
その時がいちばん自分は幸福なのだと、そう彼は言うのでした。
そして2006年の今、ぼくもまた、「男はつらいよ」という映画を求めて観るようになってしまったのです。
そういう想いにぼくを駆り立てる一番の原因は、懐かしさなのかもしれません。
懐かしさというのは、失ってしまった何かを求める心だと思うのです。
ぼくは今、あの映画を観る度に、映像の中に染み入るように流れ人と人との間を通う「潤いに満ちたある何か」があることに目を瞠(みは)るのです。
たった30年ほど前の日本人の中に、ありふれたものとして通い流れていたある温もり。
でも、その温もりは、その時代に生きていたぼくら当時の子供、若者の周りには過分に存在していたためか、ぼくらは、「男はつらいよ」という映画の中に流れているような情緒に、どこか飽き飽きし、あの映画を時代遅れな煩わしいものとして敬遠していたような覚えがあるのです。
その時代、容易に手に入り、いつでも食えると思える食べ物は、案外後回しにしてしまい、目新しい手に入りにくい刺激的な味の物ばかりを求めて食べてしまう。
いつしか珍しいものを求めることこそが高級なことだと思うようになってしまう。
そんな気風が人の中にはあるのではないでしょうか。
でも、あれから30年経って、ぼくらの身の回りにあれほどあった、人と人との間を通い流れ、人を潤していた「ありふれていた何か」が揮発してしまった。
そしてぼくは、「男はつらいよ」という映画を求めて観るようになった。
今ぼくは、あの映画の1カット1カットの映像の中にそっと配された、さりげない優しさに細胞単位で潤っていく自分を感じ、只々、目を瞠るのです。
きっとぼくも安田くんも、そしてあの映画を観る多くの人が、草の葉についた朝露を集め喉を潤すように、大切にあの映画を観ているのだと思います。
あの頃、過分にあった「なにか」は、もうカケラもなくなってしまった。
そのことをぼくらは、「男はつらいよ」という映画を観るたびに思い知るのだと思います。
男だから、やせ我慢をして他人に見栄を張る。
だが、そんな窮屈な生き方は、つらいだけだ。
世間がそう言えば言うほど、「いや、それこそがカッコイイ男なんだ」と、そう言って、この男は、自分の背負った馴染みの古い価値観に懸命に踏みとどまろうとする。
「男とは、そうあるべきものなんだ。人とはそうあるべきものなんだ。男はつらいものなんだ」と。
誰も期待しない、そんなやせ我慢の男が見せる本音と建て前の見え隠れが、ある時は観る者の笑いを誘うけれど、世間に馬鹿にされ蔑まれるこの男が、ここ一番で見せる純情に胸を打たれた時、もうこの男を笑える者は一人もおらず、観客は、生きるという素朴な行為の中に誰もが抱える暗い淵のあることに気づき、ただ泣くしかすべがないのです。
もう、そんな男も世の中から消え去り、そんな男をひっそりと支えていた潤いも世間から完全に揮発したのだけれど、それでもぼくらは、未だにここ一番で見せる男の純情を観るたび、胸を打たれ、やはり泣いてしまうのです。
ぼくにはそのことが、依然としてぼくらが「男はつらいよ」という映画の中にあるような、情緒豊かな世間でもう一度生きたいのだと、切に望んでいる証のように思えて仕方が無いのです。
なんでしょう。
「男はつらいよ」論みたいになってしまいましたが。
今あるもやもやっとしたところを、なんとなく探り探りで書いていたら、こんなものになってしまいましたよ。すんませんね。
奥さん方の暇つぶしにでもなればよろしいなぁ、と思いつつ、本日はこれまで。
それでは、みなさま、また来週ね。
楽しい休日をお過ごしくださいませね。
そして週明けまたお越しくださいませ。
待っておりますのでね。
それでは、お達者で!
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(21:56 嬉野)