2011年12月9日(金)

嬉野

2011年12月9日(金)
嬉野です。
思うにね。
世間には気持ちの好い場所というものがあり。
いや、奥さんね、
気持ち好い場所と言ってもね、
マッサージしてもらえて気持ちが好いとこ、
とかっていう意味ではなくてよ、そうではなくして、
「あぁなんだろう、ここってなんだか、こうやって座っているだけで和むなぁ、なんだかホッとする、ホッとするってこんなに気持ちが好いのね、いやぁこのままいつまでもこうやって居たいなぁ、って、思っちゃうってなんだろう、うーむ、この感じ…」とかって思ってリラックスしてしまう場所という意味ですよ。
どっかのお寺の静かな座敷に座って、
縁越しに妙に趣のある枯山水の庭を眺めた時のような状況よ。
もちろん自分の部屋が一番気持ちが好いということもあるので、
まぁそれはそれで好いんだけど、
でも人間には、感受性というか、感応力というか、
周りからいろんなものを受け取って初めてリセットしてもらえる部分があるのでね、リセットしてもらいに出掛けてみるもんですよ。
つまり奥さんねぇ。
人間にはねぇ、この世界にある、いろんなものが放出しているだろうところの、きわめて微量な、目に見えない物質をね、受けとめ味わうことの出来る能力があると私は思っているのですよ。
あれよ奥さん、人を好きになるというところにもね、このような科学的根拠が実はあってね、彼の人が放出しているだろう極めて微細で微小で微量な、なにものかをね、思わず知らず受け止めてしまう鍵穴を持ってる人はね、彼の人から放出されている物質に、まんまと扉を開けられちゃってね、「いやぁ好いわぁ」となってしまうわけですよ。反対にね、違うカギ穴を持つ人は、開かないものだから「え?あの人?いや、私は別に…」みたいな反応にしかならないとかね、あると思うの。
いや、まぁ勿論、口から出まかせですよ。
あたり前じゃないですか。ねぇ。
私が、信憑性のあることなんか言うはずがない。
でもね、
人間ってこの世界にあるいろんなものを、
実際に受け止める機関が能力の中にあるから、
ひょっとしたら受け止め受け止めしながら生きてきたんじゃないですかと、ある日、怪しんだわけです。
そう考えれば、
もう片一方では、あらゆるものは、
知らずの内におのれから微量な物質を放出しているのだという事実があることにできる。
いや、そうに違いない。
というか、そういうことにしてしまいたい。
いや、してしまえ。
じゃぁもう裏づけ無しで!
とかっていうね、
まぁそういう流れですよ。
でまぁね、
そういう感受性を持っているのに、
ずいぶん前から使ってない部分が、
こりゃもう相当な領域でね、
存在するのじゃないのかなぁって思うのです。
背中だって腰だって、
手のひらだって、足の指だってね奥さん、
普段、刺激を受けてない部分ってあってね、
そういうところを、
さすったり、押してもらったりすると、
驚くほど気持ち好いことってありますからね、
それが、場所にもある、という、ことですよ。
それを感じに行くことは、
ある意味、精神のマッサージ効果を生み出すことでもある。
つまり気持ち好くなるということですよ。
だからまぁそれはね、
大自然の中に身を置くのでも好いのだろうけれど、
案外と、人が作った庭園などね、
作った人が、作りながら気持ち好さを確認しいしい作り上げたろう場所にね、行った時の方がね、
より多くの何ものかを、
受け取った気持ちになれそうな気がしますね。
ということでね、
まぁ現代人がやんなくなったことがあるんだからね、
思い立って、居心地の好い場所を求めて、
ふっと、出かけて行って、味わおうやっ、ていうことですね。
さぁ、ということでね、
分かったような分からない気持ちのままにね、
本日もどーか皆様が皆様の持ち場で、それぞれに奮闘くださいますことを祈念いたしまして今週は終了。
解散。
また来週おこしくださいませ。
【12月7日水曜日ノ日記】
1週間ほど留守をしておりました。藤村でございます。
昨日の嬉野日記にありました通り、我々は、京都の劇団「ヨーロッパ企画」の演出家・上田くんと地味な男役者連中8人とで、札幌のスタジオにこもり、短編作品を撮影しておりました。
「短編作品」・・・という言い方が正しいのか、それとも「バカバカしい小芝居」というのか、「コントじみた芝居」というのか、とにかく「笑えるモノ」を作っておりました。
我々とヨーロッパ企画との付き合いは、もう5年ほどになりますでしょうか。彼らの芝居を初めて観に行ったときに、彼らが醸し出している「笑いの方向性」というのが、「自分にとても近しいものだ」と感じたんです。
「えっ?そんな小さいとこにスポットを当てんの!」みたいな。
「いやいや!そこ行く?」みたいな。
テーマに一直線に進むのではなく、そこに行くまでの道程に散りばめられた「些細な右往左往にこそ面白さがある」、という。
そんなヨーロッパ企画の連中となんか作りたい、という思いがここ数年ずっとありまして。でもそれは「どうでしょうみたいなバラエティー番組を一緒にやるとか、そういうことではないなぁ」と思いつつ、「じゃあ何をやれば彼らの面白さが人に伝わるだろう?」とずっと考えてて・・・。
ヨーロッパ企画は、いわゆる「本公演」と言われる長尺のお芝居のほかに、イベントなんかで披露する5分とか20分とか、少し力を抜いた感じの小さな芝居も作っておりまして。で、実は、「そんな短い芝居にこそ彼らの笑いの方向性というのが凝縮されている」ということがわかったんです。
例えばね、こんな短編の芝居がありました。
放課後、学校の職員室で先生たちが寄り集まってなにごとか相談している。来週に迫った体育祭、男子生徒61人が全員出場する組体操の最大の見せ場は「人間ピラミッド」。4段のピラミッドを作るなら、10人の生徒でひとつのピラミッドを作って、それが6つできる。でも、それじゃあ生徒がひとり余ってしまう。5段のピラミッドなら、15人で4つ。いやいやこれもやっぱり、ひとり余ってしまう。どうしましょう・・・保護者の手前、ひとりだけ余ってしまうのはまずいでしょう・・・みたいな話を先生たちが延々と話し合うという「苦悩のピラミッダー」という20分ほどのお芝居。
バカバカしいです。あまりにもテーマが小さい。しかし、たまらなく面白い。
もうひとつ、こんなのもあります。
テレビの情報番組で紹介された美味しいカレーパンのお店。そこに行列を作って並ぶ人たち。でも、ひょんなことから、その行列がふたつに枝分かれしてしまう。どっちの行列が正しいのか・・・こっちですよ!いやこっちの列です!・・・みたいな、どーでもいいけど、でも当人たちはせっぱ詰まっているという「カレーパン」というお芝居。
いずれにしても「えっ?そんなトコにスポット当てんの!」みたいな。でも、そんな小さい状況の中で、真剣に右往左往する人たちの面白さっていう。それこがヨーロッパ企画のお芝居のエッセンスの大事なひとつではないかと、思ったわけです。
それで今回、彼らが過去に演じてきた短編の中から、名作と言われているものを集めて、それをみなさんにお見せしようと。
芝居・・・でもあり、コント・・・でもあり、その中間、という不思議な短編。それを今回は、思い切って8つ、スタジオにこもって撮り続けました。上に挙げた「ピラミッダー」も「カレーパン」も、もちろん撮りました。
出来映えは、かなりいい、と思います。彼らの芝居を初めて見るスタッフ連中も、ずーっと笑ってましたから。そして最後には、あの地味なヨーロッパ企画の面々のファンになってましたから。
放送日もなにも、まだ決まっておりませんが、とりあえず、いいモノが撮れました!
早く笑ってほしいなと思っております。
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(16:25 嬉野)