2009年2月5日(木)

嬉野

2009年2月5日(木)

昔、うちに犬がいた頃。
犬のともだちはうちの女房だった。

その女房が旅に出ると、
犬はともだちがいなくなって、
つまらなそうにしていた。

日が暮れて遅くに自宅に帰り着くと、
犬は暗い居間の隅で寝ていたものだ。

明かりを点けると犬は目を覚まし、
かったるそうに伸びをして、
ポテポテとした足取りでぼくの傍に寄ってきた。

台所の床にステンレスで出来た犬の皿を出してやり、
ドッグフードをカラカラと入れ牛乳をかけてやる。
犬はピチピチと音を立てながら食べはじめ。

ぼくは部屋に戻って本を開いて。
そうして本を読んでいた。

しばらくして目を上げたら、
廊下の向こうの居間の入り口に、
じっとこっちを見ている犬がいて。

犬はなんだか切っ掛けを待つような顔でじっとぼくを見ていて。
手招きをしたら、
いきなりしっぽを振って、早足で寄って来た。

寄って来ても、
ぼくは本を読んでいたから、
犬と遊ぶわけでもなかったが、
それでも犬はぼくのそばで丸くなって寝ていた。

そのうち飽きたのか、また立ち上がって、
とぼとぼと居間の方へと戻って行って。

しばらくして見に行くと、
犬は前足の上に顔をのせてつまらなさそうにしていたのだった。

ふと思う。
犬はどことなく寂しそうであって欲しい。
できればいつもつまらなそうにしていてほしい。
そうして、ほんの少しのことで喜んで欲しい。
ちょっと構ってやったくらいで、
しっぽを振って、飛び上がって、喜んで欲しい。

そのためにも、
犬にはいつも寂しそうなやつでいて欲しい。

そう思いませんか奥さん。
ねぇ。

私はね、そう思うの。
昔からね、寂しいのが好きだから。

なんでだろうね。
とくに理由は思いつかないけど。
きっと幸せだったんだろうね。
子供時代。

さて、明日は日記の更新はお休みします。
嬉野さんは明日は健診日なのです、
でもって藤やんもお休みだし、

ここは来週月曜までひっそりシーンとしてますのでね。
みなさんもつまらなさそうにしててください。

ともだちいなくてもね、
ともだち欲しいなってつまんなさそうにしてる状態って、
わりと好感持てる。

つまんないなぁと思いながら、好い子にしてるって、
きっと、はた目にいいのよ。

じゃ、また来週!
嬉野さんでした。

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また明日。

(17:26 嬉野)