2006年12月20日水曜日
2006年12月20日水曜日
嬉野です。
さてと。
昔は、馬方(うまかた)という職業があったんですな。
知ってます?
年末の忙しい時期に、唐突に、あれですけど。
しばし、お付き合いくださいましね。
ほら、昔の旅というのは、全部自分の足で歩いたわけでしょう。
だから、たとえば、健脚の人でなければ越えられないような峠道とかね、難所が多いところでは、旅人を馬の背に乗せてあげて、楽に峠を越えさせる、それで幾ばくかのお金をもらう。
そういう職業があったんですな。
でね、ある雑誌を読んでたら、明治初年の日本の庶民のいろんなエピソードを紹介している本があるのだと、いうようなことを書いてる人がいましてね、その中のひとつとして、ある馬方のエピソードがピックアップされてそこで紹介されてたんですね。
明治初年というと、もう140年くらい前になりますか。
ある峠道をね、一人の馬方が、馬の先に立ってね、くつわを引きながらゆっくりゆっくり登ってるんですね。
馬の背には、旅の坊さんが乗っている。
坊さんを乗せた馬は年老いているらしく、たまに足をとられるのか、右に傾いてしまう時があるんですね。
その度に、馬方は、馬の右側に回って声をかけるんです。
「親方、大丈夫か。親方がんばれ。ご苦労だな」
峠を越えるまで、馬は、何度か足をとられる。
その度に馬方は、馬をかばいながら声をかけるんです。
「親方がんばれ。親方難儀だな」
峠を越えた辺りで一休みした時、旅の坊さんから「どうして馬に親方と呼びかけるのですか」と聞かれて、馬方は答えるんですね。
「この馬には、自分と女房、自分の二親から自分の子供たちに至るまで食わせてもらった。お陰で自分ら家族は、ひもじい思いをすることも無く生活させてもらってきたのです。全ては、この馬のお陰なのです」と、馬方は目の前の馬に対する感謝の念を旅の坊さんに漏らしたそうですね。
「だから自分は、親方と呼んでいる」
その親方も年老いて、体力も著しく落ちているはずなのに、それでもまだ立ち止まることをせず、働いてくれている。
自分は、旅の坊さんを道で見かけると、必ず乗ってもらうようにしている。
そうして、お金は受け取らず、その代わり、この親方が、自分らと一緒に、極楽にいけるように念じてもらうことにしている」
そう言ったらしいですね。
旅の坊さんは、馬方の言葉に感じ入って、馬のためにお経を読んで、ふもとで、馬方たちに礼を言って別れたそうです。
140年くらい前の話です。
こういう優しい気持ちを生んで大切に養っていた時代の雰囲気、それって、いったいなんだったんでしょうね。
もうよくわかりません。
よく分かりませんが、こういう話をもっと読みたいなぁと思いながらですね、本の名前をメモしないで、そのままにしちゃったもんだからねぇ、もう読めなくなってしまったわけですよ。奥さん!
かつてね、この馬方のように、思い遣る気持ちを大切にしながら自分の家族を養い、人生を送っていた人が、きっと普通にいっぱいいたんでしょうね。
無名に生まれて無名に死んでいった、ごく普通の人の話なのに。
なんだか、ぼくには沁みましたね。
ひょっとしたら人間の分際を自覚して、傲慢にならず、穏やかな気持ちで日々を暮らしていけたのが普通の人だったのかもしれないですね。
そんな普通の人が、いっぱい生きていた時代は、そんな普通の人が国を支えていた時代だったのかな。
でも今は、「普通」って言葉は、あんまし肯定的な意味じゃ使わないような気がするんだけど、どうですかね。
それはつまりどっかでね、みんながもう、普通の人でいるのが嫌になっちゃった証拠みたいなものなんだろうかね。
だとしたら、そう思ったのは、いつ頃だったんだろうなと、思い出そうとするんだけど、どーも思い出せないね。
47年も生きてるんだけどね。
さてさて、この頃の札幌地方、実はそんなに冷え込んでないですね。最高気温がプラスですもん。
雪もないですしねぇ。
ま、雪もね、なきゃないで、それはそれで寂しいもんだなぁと思うから人間という者は勝手でありますね。
じゃ、また明日。
解散。
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(20:56 嬉野)