2009年8月19日(水)
2009年8月19日(水)
嬉野です。
根室に行ってきました。
根室の町は北海道の東の果て。
いや、根室はこの国の東の果てかしら。
遠い果ての町。
根室にはずっとそういうイメージを持っていたので、
どんなに侘しい港町かと思っていましたが、
ずいぶんきれいなとこだった。
落ち着いた静かな町だった。
オホーツク海と太平洋に細く突き出た根室半島をグルリと走ると、
海岸線には緩やかな緑の崖が続くのです。
折から差してきた夏の夕日に優しく映えて広がる岸壁の緑は、
青い空と青い海に挟まれて落ち着いた美しさを見せてくれました。
アップダウンのある半島の一本道に沿って、
電柱だけがどこまでも並び、電線はどこまでも走るのです。
その電線から枝分かれして、
所々に道からそれて伸びいく支線の先を見れば、
木造の作業所や民家に点々とつながる。
日が暮れて夜ともなれば、
電灯がともる人の暮らしが懐かしく見えるでしょう。
未舗装の道がいたるところに見えて、
その素朴な趣の眺めに、ぼくはどうにもほっとするのです。
気分が清々していくのです。
半島の先端、納沙布岬にある灯台からは、
歯舞諸島がすぐそこに見えました。
灯台が建ったのは明治五年とありました。
明治五年とは、ほんの五年前までは江戸時代だったという年です。
今、自らを振り返れば、五年などつい昨日のことのようです。
だから明治五年の人とといえども、
意識はまだまだ江戸時代の人だったはず。
そんな時代に洋式灯台がこの北国の東の果ての海を照らし始めた。
見た人はみんなどんな気持ちがしたでしょう。
江戸時代という呼び方もまだなく。
近代という言葉すら未知のものだった時代なのです。
今では歴史の彼方の陳列棚の中に遠く仕舞われた感のあるその時代にも、今を生きるぼくらが、この今の時代に逃れようも無いリアルばかりを感じるように、どこまでも今でしかない人生を送っていた人たちばかりがいたということです。
夕方、根室の町のスーパーに寄り、
うちの夫婦はぷりぷりと銀色に太ったギラギラした秋刀魚を一尾買いました。
秋刀魚は刺身にして、
その晩は花咲がにも食べました。
それでは奥さん、また明日からよろしくご贔屓に願いましょう。
解散。
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(20:01 嬉野)