2007年5月1日(火)

嬉野

2007年5月1日(火)
嬉野です。
日本には、食卓をはさんで家族で団らんの中、
食事をする風景というのがありますね。
まぁ、今は色んな事情でね、「なかなか団らんまではこぎつけないわよ」というご家庭もおありかと思いますが、
それでも食卓はあるわけですよね。
家族で囲む機会が無いにしても、囲もうと思えば囲める食卓はあるはずです。
懐かしい昭和の日本というレトロで庶民的なノスタルジーで振り返ればね、畳にすわって家族全員で丸い卓袱台を囲んで食事をするという日本映画や往年のホームドラマで見慣れた和気あいあいとした雰囲気が目に浮かびますね。
昔は気に入らないことがあれば、お母さんが丹精込めて作った料理が載ってても、そのまま卓袱台をひっくり返してまで自分の存在意義を家族に問うた頑固おやじという人もいたそうでね。
それはそれだけ卓袱台というものが、安定感が無く、ひっくり返し易かったという物理的側面も彼の行為を後押ししたでしょうし、
そこまでの行為に及んでも母子ともに、経済的におやじから離れては容易に生きてはいけない時代だったという裏づけでもあったでしょうね。
でも最近の日本家屋では、床が畳ではなく板の間になりましてね、卓袱台に代わって椅子に腰掛けてテーブルにつくという風景が一般的になりまして、重量的にも、ちょっと簡単にはひっくり返せないのでね、頑固おやじもいなくなったようですが。
でもまぁ、卓袱台にしても椅子に腰掛けてテーブルにつくにしてもね、家族が、ひとつの卓を囲んで食事をするという風景に変化はない。
でも、食事時に家族がひとつの卓を囲む風景って、いったいいつから日本の日常風景になったんでしょうね?
ま、というのが、本日のわたくしの気になるところなのでありますがね。
と言いますのもね、時代劇なんかを思い出しましたところね、ひとつの食卓を囲んで家族が食事をするという風景が、どうにも江戸時代には出てこない風景のような気がしたんですよ。
江戸時代の食事風景には、どうも一人一人に独立したお膳があったような気がするのです。家族でひとつの卓を共有するという風景は無かったような気がする。
基本的に狭い日本家屋には、場所をとる食卓なんぞというものを、部屋の真ん中に恒常的に置いておくということは考えられなかったと言うことかも知れませんね。
事実、幕末に日本を訪れた西洋人は、あまりに何も無い日本間の殺風景さに当初戸惑ったみたいですね。
「椅子も机も食器棚も無いじゃないか。日本人はどうやって生活してるんだ」というわけです。
反対に、明治の始めに欧米に渡った日本人は、向こうの生活様式に戸惑ったそうですね。
「こんなに沢山家具を出しっぱなしにして、いったい、いつ仕舞うのだろう」と。
「ここは、納戸部屋なのかしら」
という印象を受けたそうですね。
なるほど、時代劇でも、長崎なんかが舞台になるとね、密輸で儲けた悪徳商人がギヤマンのグラスに赤いワインなぞを注いで悪代官あたりと悪事の前祝なんかをする時にはね、畳の部屋であっても悪人二人を椅子に腰掛けさせた上で、ひとつのテーブルにつかせたい気がしますね。
そう考えるとやっぱり「ひとつの卓を複数で囲む」という風景は西洋から流れ着いてきた文化なんでしょうね。
でもね、時代を明治まで下げても、やっぱり一般家庭には、家族でひとつの食卓を囲む風景がなかなか出てきてくれない。
まだ一般家庭に食卓が流入するのを阻害するなんらかのブレーキが効いていたわけです。
それが昭和という時代まで下ると、反対に庶民生活の風景に卓袱台がないとしっくりしないような気がしてくる。
いったいどのタイミングで、何を切っ掛けにして、家族でひとつのテーブルを囲むという行為が全国的な習慣にまで成り上がり、だれも不思議に思わなくなったのか。
いったいどんな雰囲気の中で、日本人は銘々膳から、ひとつのテーブルを家族で囲む式を食事風景として選び取っていったのか。
その辺りが気になりますねぇ。
「なるほど、なるほど。で?」
おや?
あなた、ここまで読んでこられてそう思われた?
そうですよね。
普通ここまで引っ張れば、「なるほど」くらいの結論はあっても良さそうですよね。
でも無いの。
うーむ、気持ちが悪い。
「結局なんもかんも分からず仕舞いかよ!」
というね。
お怒りもございましょうが、お許しくださいませ。
ということでね、また明日。
この場所でお会いしましょうね奥さん。
じゃ、解散!
すんません、お騒がせしましたね。
明日も懲りずにまたお出で。
【「水曜どうでしょう最新作!放送決定!】
KAB熊本朝日さん!5月4日から!
KSB瀬戸内海放送さん5月5日から!
ABA青森朝日さん5月8日から!
メ?テレさん5月11日から!
いずれも「どうでしょうレギュラー枠」での放送となります。
これ以外の地区については、決定次第順次お知らせいたします。
(18:20 嬉野)