2011年6月9日(木)

嬉野

2011年6月9日(木)
はい奥さん嬉野です。
もうね。
朝からね。
このぉ。なんでしょう。
いわゆるね。
デスク作業というものをね。
真剣にね。
やっておりましたらあなた。
(ぶんきゅー!さん!ねぇーん!)
つって、もの凄い音量で聞こえてくるのよ奥さん、
いきなりオレの真横からさぁ、
見たら、うちの新人の佐野クンというね、
今年25でこども3人もいるやつがね、
まじめでよく働くんだけどこいつがね、
れいのあれ、
「文久目覚まし(時計)」をいじってたんですよ。
「うるさいよ佐野くん」
「あ、すいません」
「なんだそれ、もらったの?」
「いえ、これ、あの、サンプル品で…」
「なんでもいいけど、うるさいなぁ…」
「いえ、これあれなんですよ、ボリュームが…」
「ボリューム?」
「はい…」
(ぶん!きゅ~!さーん!ねーん!)
「うるさいよ!佐野くん」
「あ、すいません、どこかにこの、ボリュームが…」
(ぶん!きゅー!さんねーん!きんぱち!せん!せーい!)
「うるせえなぁ!」
「あ!ありました!裏にボリュームが…」
「だから佐野くん!ボリュームは音を消してから探せばいいのよ」
(ぶん!きゅー!)
「あ、すいません…いま、いまボリュームを…」
もうね。
横でこちらが真剣になればなるほど、
脳が破裂しそうになるわけですよ奥さん。
バカバカしすぎて。
こらえられんのよ。
とにかくあんなの聞いてたら考え事もできないよ。
(かえい!ろくねんのぉ!)
「うるさいわい!」
いえ、奥さんね、
わたしゃ個人的にはあのようなものに興味はないわけですよ、
ですがね、あんな非常識な大音量でね、
さわがしいやつらの声がですよ、
ぶんきゅうさんねん、ぶんきゅさんねん、つってね、
さしたる意味もなく年号ばかりをね、
何べんもなんべんも絶叫されるとさぁ、
こっちの頭からどんどん真剣の二文字が零れ落ちてね、
緊張感が台無しにされるの!
もうね。
緊迫した状況で聞けば聞くほど、
ギャハハなのよ!
おかしな目覚ましを作ったものですよ。
あれは、
あの目覚ましは危険だなぁ。
あれは不用意にお求めになりますと、
とんでもないことになりますよ。
くれぐれも御注意を。
間違っても、
おしゅうとさんの米寿のお祝いなんかに送ちゃだめよ。
ひんしゅくよ。
無礼打ちになるよ。
「そこへ直れ!」って言われるよ。
それと、あれ、
あれを持って大部屋に入院しちゃだめよ。
毎朝となりのじじいあたりに首絞められるよ。
受験生にもだめよ奥さん!
たしかに眠気は覚める。
しかし!
やる気も失せる!
間違いなし!
「な!そうだろ?佐野くん!」
「はい?…」
(ぶん!きゅー!さん!ねーん!)
「佐野くん!」
「はい…」
(きん!ぱち!)(かえい!ろくねんのー!)
「うるせぇなぁ!」
「あ、すいません…、ボリュームが…」
ということでね、
文久目覚まし!
絶賛予約受付ちゅうー!
なくなりそうなんですってよー!おくさーん!
あんなバカなもの買うんじゃないよ~!
それでは諸氏、
本日も各自の持ち場で奮闘なされてくださりませ。
解散!
(16:32 嬉野)