2008年7月22日(火)

嬉野

2008年7月22日(火)

嬉野であります。

今週の土曜日ですか、7月26日にですね、
水曜どうでしょう「オリジナル・オルゴール」が発売になりますよ奥さん。

別に買ってくださいという話ではないですよ、何かと諸物価高騰の折ですから、家計も苦しいわけですよ、どのお宅も。
ただですね奥さん。
私も行きがかりじょう、あのオルゴールとは係わりが無いわけではないのでね、書いてますよ。

私とこのオルゴールの間にどういう係わりがあるのか、

御存知の方は御存知でしょうし、
知らない人は知らない、
忘れた人は忘れてね、しまわれたでありましょうし、
言われても思い出さなかったり、思い出したり、ですよ。
はかないものでございますよ。

かいつまんで言いますとね奥さん。

このオルゴールにはマスコットフィギアが二体入っております。

つまりタコ星人のミスタさんと校長の洋さんがフィギアになってオルゴールのメロディーに合わせてくるくる回る仕掛けですよ。

手が込んでます。
石坂店長こだわりのオルゴールですよ。

で、そのこだわりのオルゴールの箱をパカッと開けますとね、
これも石坂店長こだわったところの、二体のマスコットフィギアが、うやうやしく新聞紙にくるまれて入っているわけです。
そばには、くしゃくしゃっと丸められて、クッション代わりにされてる新聞紙も見えますよ。

この、「新聞紙でこだわりのマスコットをくるむ」とか、「新聞紙を丸めてクッション代わりにする」という雰囲気も石坂店長のこだわりだったわけでね、わたしゃ、ここでこのオルゴール制作と係わるはめになったわけですよ奥さん。

話し、よく見えないでしょ。

あれですよ奥さん。
私がこだわりの新聞紙でこだわりのマスコットフィギアをくるんだ係りでした、とか、そういうことじゃないですよ。
間違えちゃだめですよ。

こだわりのくるみ方とか、そういう発想は一切ないですから。

とにかく奥さんねぇ。
店長はねぇ、こだわりのかたまりのような男なんですよ。
つまりねぇ、こだわった仕掛けのオルゴールを作って、くるくる回るマスコットフィギアにもこだわった挙句ですよ、そのフィギアをくるむ新聞紙にもこだわったらしいですよ。

この新聞紙もオリジナルなものにしなければいけない。
そうだ、どうでしょう新聞でくるもう!
そうだ!それがいいぞ!
そうすればタコ星人現る!とか見出しに踊って盛り上がるじゃないか!
じゃ誰が記事を書くんだ?
そうだ!嬉野のおっさんに頼めば好いや!
みたいなことなんですよ。多分。

最初、私、言ったんですよ彼に。
その話をされた時ね。

「やだ」って。

したら奥さんもうね、ごり押しですよ。

それでね、私も根負けしてね、書くことにしましたよ。
で、改めて聞いたんですよ、

「何文字書けばいいの?」って。店長に。

したら店長が言うんですよ。

「いっぱい」って。

私は驚きましたよ。

「いっぱいってなんだよ」
「へっ」
「大人がそんな頼み方しないだろう普通よう」
「いや、多いほど好いんですよ。字数制限なしです」
「やだよ、はっきり数字にしてくれよ、字数制限してくれよ。こっちだってもう帰りたいんだからさ。」
「いや、適当にいっぱい書いてくれれば好いんですよ」
「レイアウトしたんでしょ」
「しました」
「だったら数えれば分かるでしょ、何文字書けばはまるか」
「はい」
「じゃ、数えてよ」
「数えます」

「数えました」
「お。で?何文字だったの?」
「8千文字です」
「はっ…せん…」
「8千文字です」
「まじで」
「まじです」
「そんなべらぼうな文字数ないだろう!新聞だろ!」
「新聞です」
「一冊作る気か」
「いえ見開き一枚です」
「どんなレイアウトしたんだよ!」
「これです」
「なんだよこれ!明治時代の新聞じゃあるまいし、写真とかまるで入らないのかよ!」
「あぁ、写真」
「おかしいだろう!写真も入らないで字ばっかりで、それこそ新文ぽくないだろう!」
「そうかなぁ」
「そうかなぁじゃないよ!新聞広告とかあるでしょ普通!今時文字しか並んでない新聞なんて見たこと無いよ!何こんな夜更けに8千文字とか依頼してんのよ!あんた!」

「多いですか」
「多いに決まってるだろ!べらぼうだよ!」

まぁそんなこんなのやり取りがあってね、でも結局、またゴリ押しされてね、押し問答してる時間すら惜しくなってきてね、とりあえず書かないと帰れないと思いましたのでね、書きましたよ。

その時の憤りをそのままに、書いてやりましたよ私は!

そんな係わり方をね、したわけですよ、私は。
このオルゴールとね。

でね、そのオルゴールがこの度目出度く完成しましてね。

だけど完成したって、私には感慨もなにもないですよ。
ただね、どんな風にくるまれているのかしらんと、
新聞紙の出来が気になりましたのでね
フタを開けてみましたよ。

したら奥さん、
いきなりくしゃくしゃに丸められた新聞紙が見えましてね、

「あぁこれか」と。私は思ってため息をつきましたね。

このくしゃくしゃと丸められるために、おれはあの晩残業になったのかとね、思いましたらね、別の意味で感慨もひとしおでしたよ。

でね、くしゃくしゃした新聞紙を、こう手でほぐしてね、
読もうとしたんですけどね、もうね、悲しいかなどっから読んでいいのかわからないようなレイアウトになっていてね、もうね、更にがっかりですよ。誰も読まねぇよ。こんなもん。

とね、悲しんだわけですよ奥さん。

よく分かんなかったでしょ。話の中身がね。

買っていただくとよく分かるんですよ。

ね。

買ってください。
ね。

じゃ、また明日。

オルゴールの発売は今週の土曜日。

ね。

解散!

(13:48
嬉野)