7月11日火曜日。夜9時を回りました。藤村でございます。

藤村

7月11日火曜日。夜9時を回りました。藤村でございます。
先週土曜日からいよいよ関西ABC朝日放送さんで、2005年新作!「激闘!西表島」(もうね、おおっぴらに言っちゃいますよ)がスタートいたしました。
昨年の今日7月11日の朝ですね、HTBの通用口で
「む・・・むし追い?」
と、大泉さんの目がテンになったのは。
「日本ですか」
「日本です」
「・・・ゆるいなぁ」と。
あれからちょうど1年。
「水曜どうでしょう」は北海道だけの先行放送(ローカル番組なんだから当たり前なんだけども)ですから、なかなか当時のいきさつをここでお話することができなかったんだけど、そうですね、1年目にして少し話しをしておきましょうか。
ミスターと企画会議をしたのは、ずいぶん前のことです。
「今年の新作、どうしましょうか」と。
企画会議での話は、まずロケの具体的な内容よりも、気持ちの部分。雰囲気。だから、
「ミスターは、どんな感じですか?」
と、聞き方もあいまい。
「そうですね・・・」
やや沈黙のあと、
「スペインは・・・?」
ミスターが逆に聞いてきましたね。
「行く気・・・ないですよね?」
「ないですね」
「ハハハハ!やっぱりね」
あの人はわかってましたね。
去年行ったばかりのところにこの人たちは行く気はない。「下見」をした段階で「すべてを見ちゃった」から、すでに興味がなくなってる。「作り手の気持ちが盛り上がらない」となれば、これはもう「ない」と。
「ミスターは、気持ち的には、今年どうなんですか」
「まぁ、できることをすれば、いいじゃなか!って感じです」
「ハハハハ!おれもまったく一緒!」
ここ何年かの知らない間に、自分たちの知らないところで、ずいぶんと番組は大きくなっちゃって、ずいぶんな期待をされているようだけれど、「ぼくらにできることはこの程度」という「身の丈」がある。「身のほど」を越えるとキツイ。
04年にスペインに下見に行ったとき、嬉野先生は言った。「牛追い」を撮るとしたらカメラが何台もないと多分キツイ。世界的な祭りで、カメラポジションの確保であるとか、そういう交渉も2人だけではキツイ。
「そうか」と。体力的なキツさならどうとでもなるけれど、そういう段取り的なキツさ、規模的なキツさは、いくら皆さんから期待されようとも、できないものはできない。
「だって、おれらはその程度なんだもん」
「そもそも、そうなんですよね」
それから、お互い今年できそうなことを列挙していく中で、ふと私は、
「山登りとか、ハイキングとか、そういうのどうでしょうかね。我々もいよいよ中高年の域に入ってくるわけですから・・・」
そう言いながら、我々4人が山道をのんびり歩いている情景を思い浮かべたとき、「おっ…」と思い当たった。
「虫!」
「そう!昆虫採集!」
ミスターがほぼ同時に声をあげた。
「アハハハハハ!ミスターも浮かんだ?」
「浮かんだ浮かんだ!」
その時私の頭に思い浮かんだのは、ニッカボッカを履き込んだ中高年のハイカー姿ではなく、短パンに麦わら帽、虫取り網を振り回しながら走るミスターと大泉洋の姿であった。夏休み。暑い日差しにセミ。軒先の風鈴。縁側のスイカ。たたみにタオルケット。玄関に立てかけた虫取り網。
「クワガタとか捕るのに、木に蜜を塗るとか言いますけど、藤村さんやったことあります?」
「ないない。んなめんどくさいことしない」
「ですよね。本当にそんなことやって捕れんのかなぁ」
「やってみますか!夜、木に蜜を塗って早朝見に行く。そのあとはスイカ食って昼寝」
「あっ藤村くん、昼寝の画はボク捕りたいなぁ。そういうのんびりとした画はいいですよ」
「最近のガキはムシキングだなんつってやってっけど、おれらは本物でやりましょうよ、戦い!ねぇミスター」
おっさんの夏休み。虫取り。それが今年の企画。そう決まった。
ミスターはそれからいろいろ調べて、島根の山の中とか、長野とか、虫取りの場所を選定していたけれど、そのころの私は「沖縄バカ」だったので、すぐさま「ハナタレ」で毎年沖縄ロケを敢行している福屋キャップに、
「沖縄で虫取りができるところはないか」
と相談したところ、
「そんなのはイリオモテに決まってんだろ」と。
そして、
「藤やんまかせろ。手配は全部オレがやる。その代わり連れてけ」と。
わかった。だったらほかの友達も誘おう。小松と安田さん。その方が楽しい。そのかわり宿は安い民宿。たたみの部屋でザコ寝。
「いいじゃないですか藤村くん!南の島。みんなでザコ寝!」
大部屋好きの嬉野先生も大賛成。
そうやって、企画の中身はどんどん決まっていった。いや実際、中身は何も決まっちゃいなかった。でも、「気持ち」の部分はゆるぎなく決まっていた。
それで・・・安心して、そのまま南の島にぼくらは行ってしまったわけだ。
「スペインで荒々しく牛追い」ではなく「南の島で、のんびりと虫追い」。
でも、結局「のんびり」とはできず、嬉野先生ご希望の「昼寝の画」も撮ったけれど、それは「ヘトヘトになって倒れているおっさんの画」、もしくは「暗闇の港で行き倒れているおっさんの画」になってしまった。
それが、2005年新作「激闘!西表島」。
今のぼくらにできるのは、ごめんなさい、あのぐらいのことなんです。
【新作放送決定!】
ついに関西で05年新作「激闘!西表島」が放送開始!
お久しぶりでございます!ABC朝日放送さんで!
7月8日から9月2日まで毎週土曜日25:00?
また、04年「ジャングル・リベンジ」の放送も以下2局で決定!
KBS京都さんで2夜連続!
7月15日(土)19:00?22:00 第1話?第4話
7月16日(日)19:55?21:25 第5話?第7話
*「どうでしょうリターンズ」もレギュラー編成中。
UMKテレビ宮崎さんで!
7月6(木)、7(金)、8(土)、9(日)、12(水)、13(木)、14(金)の各日に深夜編成されます。
(21:53 藤村)