2006年1月27日(金)
2006年1月27日(金)
「カバーは、お掛けしますか?」
この頃、本屋へ行くと必ず会計の時にレジのお嬢さんがそう聞いてくる。
ありがたい話だが、結局、剥がして捨ててしまうから断ることにしている。
「あ、いや。カバーは、いいです」
彼女たちにしても、そう言って拒否されたからといって、ガッカリと肩を落とし、うなだれたまま、涙ながらに店の奥に引っ込んで行くなんちゅーこともないわけで、それよりは「よし。ひと手間、はぶけた!」ぐらいの感じで内心ほっとしているであろうと、こっちは勝手に了解していたのであったが、先日テレビで私は意外な光景を見た。
この、書店のブックカバーを好んで収集し且つその出来を品評している一団がいるのだ。
世の中には、変わった人がいるものだと思いながら見ていたのだが、
書店へ飛び込み、ブックカバーをねだる、彼ら彼女らその一団の目の色が違う。
血走っているのだ。
最初は、この見慣れない一団のいきなりの申し出に怪訝な顔を見せていた書店店主も、ブックカバーを見せた途端に「この柄は珍しいですねぇー」と、色めき立つ一団の反応を目の当たりにしてまんざらでもない様子。やがて打ち解け歓談の末、破顔一笑、帰りには店主も一団に向け懐かしそうに手を振って見送っていた。売り子であるレジのお嬢さん方も、いつもは見慣れた自分の店のブックカバーを有難がる人がいたもんだから「これって、なんか、そんな良いものだったのかしら」と改めてしげしげと眺めだす始末。
思えば、書店のブックカバーというものは、その書店の顔であった。
なるほど、本来、広告という効果を期待して作られたのが始まりだったのだ。
だからカバーには書店名が刷り込まれているわけだ。
そうであった。
そしてさらに思うと、やはり表に出るものは全て世評の対象となる。
そこで本屋としてのセンスを疑われぬようにと、店主は当然意匠を凝らしてブックカバーを作っていたのであった。
ちなみに、その一団が蒐集したという書店のブックカバーを見ると、確かにどれも鑑賞に堪えるデザインばかり。中には、故、伊丹十三監督、若かりし頃の手になるイラストが刷り込まれたカバーまであった。それは、書棚いっぱいの本に囲まれた愛書家の幸せな書斎。
書店のブックカバーここに極まれりといった趣であった。あれは欲しい。とても欲しい。と思った。
と言うことは、彼の一団の熱中以前に、書店店主の人知れぬ孤独な熱中があったということでもある。そこを褒められれば、書店店主も喜んで当然。なるほどなぁという話。
とにかく彼らは全国行脚で書店のブックカバーを集め回っているようなのだ。
そして彼ら以外の世間の誰もが、未だにそのブックカバーに金銭的な価値を認めてはいない。
つまり彼らは、世間にとって無用の物と向き合って、その中に眠る鉱脈を掘っているのだ。
そして、彼らの蒐集した意匠を見るにつけ、やはりそこに鉱脈はありと、私も驚いた次第なのでございました。
ただでくれるというもんだから「ブックカバーなんかいりません」と、澄ました顔で拒否し続けていたという、この油断しきった自らの日常を恥じ、かつまた、そんな物にそんな鉱脈が眠っているとは思いもせず、最初から見ようともしないで分かったように拒否し続けていた自らの好奇心の無さをこれまた恥じ、自分たちだけの宝の山を前に狂喜する善男善女の一団に、ただただ羨望の目を向けていた小一時間であったわけでございます。
いやね、その一団のみなさん楽しそうだったのですよ。
当然どのお方もお仕事をお持ちでしょうからね、それこそ少ない御休みに誘い合わせて泊りがけで日本中の書店めぐりをしていらっしゃるんだろうなぁと御見受けいたしましたけどね。30?40人ほどいらっしゃったようですけど、みなさん、いがみ合うでもなくね、仲良くひとつの事に盛り上がりつつ、旅館の広間で笑ってらっしゃってね、「あぁ、楽しいんだろなぁ」と、私、羨ましく思いましたですね。
無価値と思われるものの中に価値を見出せる人って、一人遊びが出来る人なんだと思いました。一人遊びが出来るから楽しくて、苛つくことも腹をたてるひまも無く過ごせるんじゃないでしょうかねぇ。
そう考えるとね、犯罪というのは、だいたい一人遊びができない人が引き起こすものなのではないのかなぁと思いましたね。「振り込め詐欺」にしたってね、「いじめ」にしたってね、一人で楽しく遊べてたら、そんな屈折した方法で他人と係わって楽しもうなんて考えませんもねぇ。
きっと自分ひとりで遊べなくて、その結果、楽しくない時間を持て余して、他人と係わって憂さ晴らしをしたり他人を騙して小馬鹿にしたりしてるんじゃないでしょうかねぇ。
自分で好きなことを見つけて、熱中できる人ばっかりだったら、犯罪も無いのじゃないでしょうかねぇ。
だいいち、自分のやってることに夢中だったらね、わざわざ他人をいじめたりしてるひまなんか無いですもんね実際。なんか、そんな風に思いましたよ。はい。
さぁ、それでは皆様、本日はこれにて終了。また来週お会いいたしましょう。
いじめや犯罪に手を染めて、ひまをつぶしておられる方は、この週末あたりに一人遊びを見つけて、他人に頼らぬ楽しい週末をお過ごしくださいませ。
世界平和のためでございますからねぇ。
本日の日記担当は、嬉野でございましたぁー!
さて、明日札幌真駒内屋外競技場でビッグエアーの本選がございます。
アーチストさんたちのライブもございますので合わせて楽しめますので、お時間のある札幌市民のみなさん是非どうぞ。
開場は、お昼の1時からとなっております。
この時間からお越しになりますと選手の公式練習も見れますし、
10?FEETさんや、ELLEGARDENさんたちのライブも見れますのでお楽しみにお越しくださいませ。
そして、道外の皆様におかれましては、この明日の本選の模様を明後日1月29日土曜日の夜中、24:15からEX系列24局ネットで全国放送いたしますので、どうぞお見逃し無く!
じゃ、また来週!
げんきでねぇ!
【2005年新作(全八夜)放送決定】
●YTS山形テレビさん→現在新作放送中。3/8からは「クラシック」放送。
●HAB北陸朝日さん→06年1月25日(水)25:15?
(18:08 嬉野)