2014年10月10日(金)

嬉野

2014年10月10日(金)
奥さん嬉野でございます。
さて、先週末の土日。
うちの藤村さんと2人で特急列車に乗って帯広へ行ってまいったんでございますよ奥さん。
帯広までは札幌からJR特急で2時間半の旅でございます。
着いてみれば奥さん帯広はすでに秋も深うございましてね。お昼も午後の3時を過ぎる頃にはシンシンとした冷え込みが身辺に迫ってまいりますし、そういえば雪虫が盛んに飛んでおりましたから、ほどなく雪が降るのでございましょうね。
今回、我々が帯広くんだりまで出掛けましたのは他でもありません、呼ばれたからでございますよ。
文化庁が主催するメディア芸術祭という「これはもう芸術と呼んで好いね」といった映像主体の作品の展示が、帯広の千年の森というところで催されておりましてね、そこで、展覧会の審査員の方とぼくらがトークをするという趣向だったのでございます。
行ったら驚きましたね。
千年の森までは帯広駅から車で40分かかりましたんですが、アクセスとしては公共の交通機関といってはとくに無く、路線バスも無いのだそうです。だから自力で車をなんとかして行くしかない。
もちろん我々の場合は駅にお迎えが来ておりましたけどね。
会場に着いて驚きました。
入口に「メディア芸術祭」の看板もない。
いや、見落としたのかもしれない。
けど、看板って見落とすんだろうか…。
それよりも問答無用で目に入ってくるのは、美しい緑の芝生の上でひときわ異彩を放って建つブルーシートで全体像を覆われた、あまりに場違い感のありすぎる 2 棟の小屋です。
「メディア芸術祭って…、これかい?いやいや、これじゃないよね~?文化庁だろ?」
場所的に間違いなく「ここ」なのに、その場所を目の当たりにしてもなお確信が持てない見栄えのメディア芸術祭。いや、そりゃどういうことだよ。
そう、それほど「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、もの凄いものだったんでごさいます。
こういう出だしで書いてしまうと、ここまで読んでこの先を読まない人には最悪の伝達をしてしまうことになるかもしれないので、ここで結論を先に書きますと、
現在、帯広の千年の森で開催中の「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、物凄いことになっていて、これは帯広近辺にお住まいの人は是非見に行くべきです!それだけの価値があります!と声を大にして我々は言いたいのだ!ということなのでございます。
おそらくこのような展示祭には、今後一生出会えないはずです。
これはまたとは無い、空前絶後の催しとなっているのです。
この驚きに触れたぼくらの興奮を、いったいどう伝えたらいいのか、わたしは気ばかり焦ってわけがわからないのですが、
わたしにとってそして藤村くんにとって、先週末の「メディア芸術祭 十勝帯広展」は実に胸を打つ大きな体験だったということです。
ほんとうは日本中の人に見に行って欲しい。だって物凄いことになっているから。
でも、最初に書きましたように、帯広駅からでも車で40分もかかるところです。それに路線バスもない。となれば旅行者が気軽に立ち寄れる場所ではない。
あえて旅行者が立ち寄ろうとすれば帯広駅でレンタカーを借りるしかない。実際あの日「横浜から来ました」という方がおられましたが、その方は帯広駅からレンタカーを借りて来られたそうです。
それほど旅行者には困難な場所で開催中ですから、この際、帯広近辺に在住で車の都合のつく人だけにでも、今度の週末の3連休には「メディア芸術祭 十勝帯広展」に出掛けて欲しいのです。
普通。あんな舐め切った心境で優れて芸術的な作品に出会うという機会はないはずです。
なぜなら、やっぱり「芸術祭」ともなれば、博物館やら美術館やらと、それなりの箱の中でやってしまうものです。
そうなりますと見に行ったこちらの方の心境も、肝心の芸術にたどり着くまでに、会場の建築的威容やら内部の洗練された高いデザインセンスやらに、知らぬうちに圧倒されていて、自分では気づかぬところで気持ちが萎縮しているか、はたまた「自分は優れたものを見に来ているんだ」という必要以上の気負いを持たされていたりするもので、いずれにしても冷静な精神状態ではいられなくなっているものです。
そのような心境で芸術に接しても得るものはない。
そうです。そのことを今回わたくしは初めて体験して知ったと思うのです。
だからこそ私は、これまでの人生で、芸術作品と感動のうちに出会うことがなく、得るものもなかったのだなと合点がいったのです。
なぜといって、現在、帯広千年の森で開催中の「メディア芸術祭」の外観には、なんの威圧感もない。あたりまえです!ブルーシートなんだから!そんなもんあんた!威圧どころか、見に来たこっちが「オレたちゃはるばる来てんだぞ!」と、多少の難色を示してやりたいくらいのイカサナイ見栄えですよ。そんなもんあなた、ブルーシートの小屋の中に優れた芸術が展示されてるとは思えないじゃない。
「なんだよメディア芸術…」
そんな舐め切った心境で、私たちは、ブルーシートの小屋のひとつに入りました。
そして、圧倒されたのです。
まるで、ムシロ掛けの小屋の中に入るように、私たちは、なかばあきらめた思いでブルーシートをめくり上げて入りました。
入ってみれば、中は真っ暗な四畳半くらいの真四角な部屋。
入る時にめくり上げたブルーシートの隙間から一瞬外光が入り内部の展示物が薄ぼんやりと浮かび上がりました。
その一瞬の光景は、床一面に敷き詰めた子供の夏休みの宿題のようなジオラマでした。
舐め切った心境は、さらに輪をかけて鼻白んでいました。
私らはもうすっかり観念して、真っ暗な中、まるで珍しくもない親戚の家のコタツにでも座り込むようなぞんざいな感じで床にあぐらをかいて座りました。
座っていると、しばらくそこは、ただ、暗いだけでした。
やがて豆電球のような明かりが床の一角に灯りました。その豆球の明かりに照らされて、敷かれている小さな小さな模型のレールが見えました。
「鉄道模型のジオラマをみせられるのかしら」と私は思ったくらいです。
はたして豆球列車はレールの上を動きだしました。
真っ暗な部屋の中で豆球の光だけが眩しいほどに明るく移動を始め、その移動して行く豆球の明かりの照り返しを受けて、ぼんやりと浮かぶジオラマは、百均で売ってるようなプラスチックのザルが伏せたお椀のように置かれ、その中をレールが通っているような様ばかりのように見えました。
「いやあ叶わん。こんな子供だましを見てなきゃならんのか~」
「それならそれで、暗すぎないか~」
我々は油断し切っていたのです。
その時、そばにいた誰かが声を上げました。
「あれ? 壁に、影絵のように影が浮かんでますよね」
そうです。この作品の主題は動いて行く豆球の光が順次壁に映し出していく影そのものにあったのです。
その影が見せる世界こそが作品だったのです。
それは圧倒的な体験でした。
それほど見事に計算され尽くした影だったのです。
そして浮かび出す影の世界が、私の中のノスタルジックな気持ちを徐々に強く強く呼び覚ますのです。
私たち全員は、小屋の壁に投影され動いて行く影に今や完全に魅了されていました。
この影の様子を、私はここで細かに書くことができます。いやむしろ書きたい衝動があります。でも、それを書いてはと、思う気持ちが強いのです。
どんな影が待っているのか、どんな影の世界がまっているのかは、今度の週末に千年の森へ出掛ける帯広近郊に住むあなたが目にして体験するまでは、せめて内緒にして置かなければと思うからです。
私はこの展示に接して
「芸術って体験することなんだ」
と、心底、得心がいった思いがします。
「鑑賞してはダメなんです、体験しないと、揺さぶられないと」
生まれて55年も経って「メディア芸術祭 十勝帯広展」という、期せずして出現した装置の中で、油断させられ、知らぬ間に身ぐるみ剥がされた状態で、芸術と対面するのに一番好い精神状況に衣替えして、芸術と対面できたのだと思うのです。
いやもう素晴らしい。
もうひとつのブルーシートの細長い方の小屋では、走るあなたの影を記録できる装置がございます。
つまり、その日走ったあなたの影が、半永久的にデータとして残るのです。
それはつまり、あなたのお子さんが、今のあなたと同じ年齢になる30年後、大人へと成長した彼は、まだ彼と同じ年齢だった頃の自分の父親である今のあなたと、競争することが出来ることになるということです。
それは、たとえあなたがこの世からいなくなっても、あなたは、あなたの影をあなたの家族のために残すことが出来ることでもある。
あなたが今まだ子供なら。
30年後、あなたは、あなたの子供に、
「ほら、見てごらん。これがお父さんがおまえと同じ子供だった頃の影だよ。さぁ、一緒に走ってごらん」
そんなことを言ってあげることも可能になる。そんな、なんだか不思議にロマンのある装置のある小屋もあるのです。
そこにはうちの藤村さんのマジ走りした影のデータも残ってます。
そして一緒にトークをした審査員の飯田さんの提案で、あの日、トークショーにみえていた70人ほどの皆さんが団体で歩いた影も残されています。あの影もある意味圧巻。
他にも見ているだけでいろんなことを考えてしまう楽しい映像がいろいろ展示上映されています。
大人にも子供にも是非見て欲しい。今やそれがぼくらの願いでもあり、なにより、今回会場を設営したスタッフの願いだと思います。
「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、本来、室内で展示でするものを「北海道の自然の中に」というコンセプトで、あえて屋外で展示したのです。
その英断。
そして案の定、開催後、いきなりの風雨の襲来!
展示装置に無情に降り注ぐ雨!
誰が好きこのんで芸術にブルーシートを張るもんですか!
しかし雨が漏るよりは…。
装置がダメになるよりは…。
ブルーシート!
考えている暇はなかったのです。
そしていつしか会場スタッフは、ブルーシートの光景に慣れてしまい、
初めて訪れる我々は、その驚嘆のビジュアルに度肝を抜かれて魂消えるのです。
そして舐め切った心境で、良質の芸術と対面することになる。
これだからこそ、今回の「メディア芸術祭 十勝帯広展」は、ものすごいことになっておるのです。
だからこそ、こんなことは今後見ることができないのです!
奥さんだから今見とかないと!
そのチャンスは、明日からの3連休で最後です。
そして、みんなが見に行けば。
なにより会場スタッフが涙して喜ぶと思うのです。
間違いなくみなさんは歓待されると思うのです。そして「素晴らしいものをありがとう!」と、どうかねぎらいの言葉をかけて上げてください。
今回の仕切りも、あの、東京のテレビマンユニオンです!
あるときは、謎のアフリカコーディネーター、ムゼーを手配し、
あるときは、ディレクター牧を水曜どうでしょうのアフリカロケに投入し、
「ウルルン滞在記」や「世界不思議発見」などのオモシロテレビ番組を作り、
今や、あっと驚く、驚愕の「メディア芸術祭」をも作る!
あっぱれのテレビマンユニオンであります!
さあ!
帯広在住のあなた!あなたです!
是非行ってごらんなさい。
この催しは、孫子の代までの語り草です!
そしてブルーシートを是非写真に納めましょう!
そしてこう叫びましょう!
「メ芸さいこうー!」
それでは諸氏!
本日も各自の持ち場で奮闘願います!
そして明日からの3連休は「メディア芸術祭 十勝帯広展」へ出掛けて行ってそこで奮闘願います!
それでは各自の持ち場へ解散!
【10月7日 嬉野Dの日記】
2014年10月7日(火)
皆さんこんにちは。
嬉野でございます。
もうねぇ奥さん。
札幌もすっかり寒くなっちゃいましてね、もうもうヤンなっちゃうのよ奥さん。
ということでね、本日は内地に比べたらヤンなっちゃうほど寒いここ札幌のHTBから、わたくし嬉野がお知らせいたしますよ。
そうよ奥さん。たまに日記書いてると思ったら案の定の告知よ。
でもそんなことは言わないの奥さん(^-^)好いじゃないのよ。
心は常に愛で満ちてるのよ。
さぁ、ということで。
今度の土曜日10月11日。
午前9時から渋谷PARCOさんの「水曜どうでしょう小祭」会場から「ニコ生独占中継を敢行!どうでしょう軍団襲来!」
ということでね。なにやら字面だけはえらい派手なんですが(^-^)
トーク中継をやりますの!
久々に大泉洋さんとミスタさんと我々ディレクター陣、藤村嬉野の4人でもって、語らうという趣向でございますがね、
大泉洋さんは映画「ぶどうの涙」に御出演、
かたや鈴井さんは作演出としてオーパーツ第二弾「SHIP IN A BOTTLE」の全国公演を控えて稽古中!
それに加えて今回はうちの藤村さんもミスタさんの芝居に役者として出演するんで!東京にて稽古中!ということでございますからねぇ、
まぁ早い話が告知したいことが山ほどある連中が集まって舌鋒するどく語り合うという暑苦しくわめきあう時間となるわけでしょうからね、わたしゃ今から気が重い…、いやいや、今からもう楽しみでしょうがないのでございますよ奥さん(^-^)。
とはいえ、おっさん化いちじるしい我々軍団4人が顔を合わせますのも、去年の札幌での祭り以来でございますれば、どうか皆さん、なにぶん寛大なお心で、心優しくおつきあいいただきますよう、この場を借りまして、おん願い上げたてまつりますのでございます。
よろしくねみなさん\(^o^)/
告知しましたよ~!
見てくださいねー!
それでは諸氏!
本日も各自の持ち場で奮闘願いましょう!
解散!
【9月24日 嬉野Dの日記】
2014年9月24日(水)
おはようございます皆様。
嬉野でございます。
さてさて、あさって9月26日より
いよいよ渋谷PARCOさんにて、
渋谷小祭りが開催でございます。
そして、その小祭開催中の9月28日の日曜日に、
茨城県は古河市で、
水曜どうでしょうDVDのオープニングアニメ制作でお馴染み
ウイットスタジオのエース浅野くんの、いやそうじゃない、
むしろ世間的には、
あの「進撃の巨人」のキャラクターデザインで世間を魅了する、
あの浅野恭司と言った方がいい、
あの浅野恭司の原画展が古河市で開催されまして、
その会場で28日に執り行われますトークショーのゲストとして、
わたくし嬉野が単体で呼ばれ、
浅野くんと2人、トークをするという、
かなり珍しい企画が催されます(^^)
「嬉野さんひとりがゲストなんて!そんな綱渡りを見るような企画は心配でたまらないわ!」
などと、思われます奥様方、お兄様、お姉様、お坊ちゃんお嬢ちゃんの皆々様には、お時間ゆるしましたら是非とも古河の会場までご参集いただければと思いますよ。
ちなみに古河までは新宿から湘南新宿ラインで1時間でございます。
というわけで、
浅野くんの地元古河で開催の「第2回浅野恭司原画展!」
ぜひ見に来てくださいませ。
嬉野さんもきっと好いこと言うでしょう。
詳しい応募方法やら、会場やらは、WIT STUDIO(ウイットスタジオ)さんのホームページをご覧くださいませ。
あ!
それとですね。今年も藤村先生と二人来月の10月19日に帝京大学の学祭に呼ばれておりまして、当日の整理券は明日9/25~10/06の期間での応募なのだそうでございます。詳しいことは帝京大学の学園祭のページをご覧くださいませと!お知らせしておきますよ。
それでは本日も各自の持ち場で奮闘願います!
【9月23日 藤村Dの日記】
9月23日秋分の日。藤村でございます。
現在、次回発売のDVD第22弾「中米・コスタリカで幻の鳥を激写する!」の編集をほぼ終えて、11月からのミスターさんとの芝居公演に本格的に立ち向かっていこうというところでございます。
さて!今週金曜日からいよいよ渋谷パルコにて!水曜どうでしょう小祭り開催でございます。
小祭り限定の新たなグッズが登場しておりますが、私のおススメはメイドインジャパンシリーズの「足袋用の生地を使ったトートバッグ」ですな。あれはいいです。丈夫だし、なにより軽い。旅先での買い物なんかに持っていくにも重宝しそうなサイズ感。よくよく見れば特殊な足袋の生地という粋なオシャレ感。ただまぁ地味過ぎるんで、次は私がデザインに手を加えたいとは思ってますが。
そして、渋谷小祭り限定福助ベアブリック。これはもうすぐに完売でございましょう。
また来週からは、水曜どうでしょうカフェも開店し、番組に関連したメニュー(ドームパスタとか白熊とか・・・)が登場予定であります。こちらもお楽しみに。
続いて、10月3日金曜日。月寒ドームで行われますHTB番組祭り「イチオシ祭り」にて、私と嬉野先生がコーヒーを飲みながらの軽いトークショーを行います。
時間は13時50分からおよそ30分ぐらいの予定でございます。おヒマな方は一緒にコーヒーでもどうですか。
翌10月4日からは私と嬉野先生は帯広にまいります。十勝千年の森で開かれる「文化庁メディア芸術祭十勝帯広展」に呼ばれまして、トークイベントを行います。
時間は10月5日日曜日の14時から約1時間。
4日は会場をゆっくり見て回りたいと思っております。このイベントというか、展示会、日本各地で毎年やってるそうですが、ほとんど知られていません。でもね、見ておいた方がよさそうですよ。アニメの上映会や、おもしろいアート展示がたくさんあるそうですから。帯広でやるのはたぶん今回一回限りでしょう。千年の森っていう場所もまたいいじゃないですか。楽しみであります。帯広のみなさま、ぜひ会場でお会いしましょう。
さて、わたくしは、この帯広のイベントが終われば、東京でミスターさんの芝居の稽古に入ります。しばし東京暮らしとなりますので、こちらには顔を出すことはほとんどできなくなりますが、渋谷には少しは顔を出そうかと思っております。
では、皆の衆!達者でなー。
あ、あと6月にやった初の舞台イナダ組公演「わりと激しくゆっくりと」の評判がすこぶる良くて、東京で再公演を行うことが決定いたしました。詳しくは26日にイナダ組ホームページで発表されます。
いやぁお芝居、おもしろいです。
(10:10 嬉野)

管理人註:
10月10日10時10分!