11月29日火曜日。藤村でございます。

藤村

11月29日火曜日。藤村でございます。
昨日の嬉野日記にもありました通り、先週末は広島の安田女子大で開かれた「日本質的心理学会」に行ってまいりました。
「学会」なんていうものに参加する機会はなかなかあるもんじゃございませんが、我が「どうでしょう」さんの「特異な番組構造」なるものが心理学の学会で発表され、その基調講演が現代日本の論壇で活躍する内田樹さんとなれば、これはもう聴きにいくしかないわけであります。とはいえ、実はわたくし、内田さんの本はこれまで読んだことがなく、今回はじめて手に取ったわけでありますが(新刊「呪いの時代」)、嬉野先生と同じく、読みながら「オレはキツツキか」っちゅうぐらいに、「そうそう!」とうなずく内容でありました。
そんな内田先生が、「水曜どうでしょう」についても語ってくれました。曰く、「水曜どうでしょうの構造は、クリントイーストウッド監督の映画の構造に似ている」と。来ましたよ。「クリントイーストウッド」と来ました。
その論は、私の理解によれば、「観る者にすべての情報を与えるのではなく、足りないものを補完させ、考えさせる『隙』がある構造だ」と。納得です。私が思うモノ作りの基本は、「作り手は誠心誠意、完全なるモノを目指す中で、それが故意であるかどうかは別にして、不完全なモノをそこにどう織り込んでいくかが肝である」と思うのです。「観る者は、完全だと思い込んでいる中に織り込まれた不完全なモノにこそ、のめり込むような魅力を感じてしまうものだ」と。まぁどうでしょうの場合、「ほとんどが不完全じゃねぇか」と思われるでありましょうが、作っているこっちは、至極マジメに、計算高く作っているつもりなのであります。
九州大学の佐々木先生が、私と嬉野先生に一年近くインタビューを続ける中で解き明かしていった「水曜どうでしょうの構造」は、実に興味深いものであり、ぜひともみなさんにお披露目できる機会があればと強く思っております。
さて我々は今日から、京都の劇団「ヨーロッパ企画」を札幌に迎えて、来春開校する放送専門学校のスタジオを1週間ほど借り切って、彼らのおもしろさが光る「短編集」を数本撮影いたします。放送はまだ未定でありますが、今日から「ヨーロッパ企画」の面々と、じっくりと、モノ作りに励もうと思っております。
そんな中で、12月2日土曜日の夜7時半からは、札幌・琴似の劇場コンカリーニョでおこなわれる「東京タンバリン」さんの芝居公演のアフタートークに参加いたします。「白A」もそうですが、なかなか札幌で観られるものじゃございません。ぜひこの機会に。
では、明日からこちらに顔を見せられるかどうかはわかりませんが、とりあえず、笑いながら1週間を過ごしたいと思っております。
皆の衆も、この1しゅうかん、楽しく過ごそう。
【昨日の嬉野日記】
2011年11月28日(月)
嬉野です。
あのね奥さん。
きたる12月2日と3日にね、
東京タンバリンさんのお芝居
「ゼロから始める」の札幌公演がありますの。
もうすぐなのね。
作・演出の高井浩子さんの作り出す世界はさぁ、
あれなんですよねぇ、
眺めていて、なんとも居心地が好いのですよ。
ぼくらは劇場に入り、イスに座るわけです。
やがて場内が暗くなりますでしょう、
そうして舞台に出てくる人たちを、あとはじっと眺めてる。
奇妙な居心地の好さはそうするうちにやって来るの。
そして思うの、
「あぁ、このまま終わらなくても好いなぁ」って。
タンバリンさんが札幌に来てくれることもそうそうないだろうから、お時間のある方はこの機会に一度体験してみるといいのですよ。
チケットはまだ買えるのだそうですからね。
奥さんさっそく以下のHPへ行ってみてくださいませ。
http://tanbarin.sunnyday.jp/
それと2日は藤村さんと嬉野さんとで、
お芝居の後のアフタートークにお邪魔することになっておりますの。こちらもお楽しみに。なんか気の利いたこと言いますから。
さて、ということでね、
本日、藤やんさんと広島から帰って参りました。
昨日、広島の女子大で行われました
「日本質的心理学会」というものに参加してまいりました。
実は、九州大学で臨床心理学を研究されております
佐々木玲二先生という方が、
1年掛りくらいで、ぼくと藤やんさんにインタビューされてね、
水曜どうでしょうの面白さの構造みたいなものを分析されて、
その一旦をその学会で発表されるということなので、
二人して出かけて行ったわけですが、これが面白いわけです。
ぼくらが聞いて面白いと思うわけですから、
みなさんが聞いて面白くないわけがない。
だからこれねぇ、みなさんに聞いてもらいたいなぁ。
「ははぁ、そう来る」というのがね、
ありまして、ためになりますのさ。
「水曜どうでしょう」を分析することは、
心理学的に意義のあることですと、
佐々木先生は、おしゃってましたですよ奥さん。えぇ。
そしてそこに、あの内田樹先生もお出でになりましてね、
内田先生からもまた実に面白いお話を聞きまして、
非常に幸せな気持ちになって帰ってまいったわけでありますよ。
なんかねぇ、世界経済が破綻して、
世界中がひどいことになっても、
日本人には、宮崎駿の世界という老若男女が共通して認識できてる幸福なモデル世界があるんだから、
日本がどうにかなっちゃったら、
あの宮崎駿の世界に戻れば好いんですよ的なね、
あのトトロの引越しの世界に戻って、
あそこからもう一度、
ぼくらみんなの力で、人間的に幸福な社会を
作っていけばいいって、内田先生が話されたものですから、
私はもうもう、「あぁそれだ!」といたく感激いたしまして、
すっかり幸せな気持ちになったわけであります。
まだまだ我々日本人、
やることありますね奥さん。
その内田樹先生も「水曜どうでしょう」ヘビービュアーですと自認されておりましてね、実にありがたいことでございました。
わたくし「下流志向」以来、
内田先生の新刊が出るたびに買い求めまして、
読み進みながら「いやもうほんと、そうそう!」と、
頷きっぱなしでね、
こっちゃぁもうもう、読むたびに首が痛いくらいでありますよ。
その内田先生と帰り際に握手していただきましてね。
いやぁどうでしょうやってて良かったなぁ、
という幸福の瞬間でありました。はい。
というね、
えぇ、たいそうアカデミックに有意義な、
広島の日々でございましたの奥さん。
ささ、ということでね、
藤村さんは、さっそくDVDの編集を始めております。
みなさんも、各自の持ち場で奮闘くださいませ!
本日も、どうーもありがとう!
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「藤やんうれしーの悩むだけ損!」が好評連載中です!
くじらさんもイラスト書いてくれてますの!
http://news.dengeki.com/premium/suidou/
(14:31 藤村)