2009年6月10日(水)

002-嬉野

2009年6月10日(水)

嬉野です。
今日の一件。

●漠然とした小さなお悩み●

夜に、なんか漠然とした不安感に襲われたらどーすればいいの?うれしー

○嬉野さんの気休め回答○

まったくです奥さん。
人生なんて不安ですよ。
自信がある時は自信があるから不安なんて感じないけど、
その自信なんてものには実のところ何の根拠もないから、
何かの拍子で、あっさり無くすよ。
そういうもんだよ。
たとえば誰かの言った、たった一言を聞いた瞬間に無くなったりする。
したらもう勝手に真っ青だよ。

そうしたら、漠然とした不安感というやつが容赦なく襲ってくるわけだ。
こいつはもう時と場所を選ばないから始末に悪い。
夜更けに、ひとりでいる時に思い出しちゃて、急に気持ちがぽつんとしちゃって、
逆落としに気持ちが落ち込む。
ある。そういうの、ある。

そういう時には攻撃的な性格にスイッチするしかないと、オレは思うね。
つまり刀を抜くわけだよ奥さん。
ギラリとしたものを抜き放つ。
だって、漠然とした不安感が襲って来るわけだから。
でしょう奥さん。
襲ってくるわけでしょ。
だったら抜くしかない。
襲ってこられたら、もう抜くしかない。
来て欲しくない奴が来た時は、「来やがれ!」と、
こっちのほうから攻撃的な気持ちでむしろ相手を向かえるほうがいい。

自信を無くしてる時は気持ちが弱くなってるはずだから、
オレもずいぶん矛盾したことを言うようだけど、だけど奥さんお薦めだ。
気持ちがしぼみそうになったら、反射的に刀を抜く。
そうして心の中で言ってやるんだ。
「やってやる」と。

いいかい。
気休めを言ってるんだよオレは。
オレの矛盾点とか、非科学性とかを、
ここでいちいち厳しく突いて来ちゃだめだよ。
今、話してるのは気持ちの問題なんだからね。
矛盾してたって好いじゃないのよ人間なんですから。
そのくらい勘弁しなさい。そうでしょう。
という広い心で。

でもオレはそう思うよ奥さん。
気持ちが落ちたら反射的に刀を抜く。
そうしてね。
「やってやるんだぁ」と言ってやる。

分かってるよねぇ?
人に対してじゃないよ。分かるよね?
漠然とした不安感に対して言ってやれと、オレは言ってるわけでね。
具体的な人に対して刀を抜けなんてなことは言ってないわけだ。

オレが小学生の頃に親父がしてくれた話があるよ。
江戸時代の話だよ。どこから仕入れてきた話だったか忘れたが、
こういう話だったな。

ある藩に悪い奴がいるんだ。(いきなり頭の悪そうな表現であれだが我慢してくれ)
こいつが原因で領内が腐敗しているんだな。(一方的な展開だがこらえてくれ)
でもこの悪い奴は権力の近くにいるんだな。
それだもんだから、なかなか意見する事が出来ない。
そこで藩内の有志が集まってこの悪者を粛清する。(ここで、嬉野さん!テロはダメでしょ!とか言わんでくれよ、昔話なんだから)

ある晩、この悪い奴を誰かの屋敷に招いて、そこで殺害するんだけど、
斬られて、その悪い奴は言うんだね。「おのれ、七代祟(たた)ってやる」と。
発されたその一言を聞いて、その場に居合わせた者たちの心は凍りつくんだ。
それくらいその悪い奴は恐れられていたし、実際実力者だったし、意思も強い男だったし、
めんどくさい奴だった。だからみんながビビッていたわけだし、それで誰も文句が言えず、藩は、そいつ一人に牛耳られ領内は腐敗していったわけなんだからね。
そんな強力な男を自分たちは斬った。
それだけでも大緊張だったはずなんだ。
怖かったはずなんだ。いろんな意味で。
そこへもってきて、最後にもの凄い顔で睨まれて、
「祟ってやる!」と凄まれた。
それも自分だけではなく七代先までも。

その一言で、その場に居合わせた全員の意思が萎えた。
それほど、その一言はみなの心に黒々とした影を落としてしまった。
あっという間に全員が後悔し始めた。
そうなると気持ちというものはどんどん萎えていく。
もう止められない。
その時だ。
その場にいた一人の侍が高笑いを始めた。
藤やんみたく笑ったわけだねぇ。「ガハハハ!」と。
みんな訝しく思ってその侍を見た。
その侍は豪傑だったんだねぇ、つかつかと皆を掻き分けて、その斬られた悪い奴の前に出てきた。そうして言ったんだね。

「よし、分かった」と。

みんなは、この侍が何を言い出すのだろうと固唾を呑んで見守った。
侍は続けた。
「よ
し分かった。七代祟ってみるがいい。だが、おのれに本当にそんなことが出来るものかこのオレが見届けてやる。よいか、今からオレがおまえにとどめを刺す。
その首を切り落としてやるから、お前は切られた首で、その目の前にある柱に喰らいついてみろ。見事喰らいつけば、その時は、お前の力を信じてやる」

そんなことを言ったんだねぇ。

なんてことを言うんだ、怖いじゃないか。まったくなんて展開なんだ、帰りたいぞ、と、その場に居合わせた侍たちは益々腰が引けてきた。
斬られた悪い奴は怖ろしいくらいの根性の男だったので「よし!望みのとおりにあの柱に喰らいついてやる。見ておるがいい!」こう言い放って、もの凄い形相で柱を見据えたんだねぇ。
さぁ、みんなはもうどきどきだよ。
もうもう漠然とした不安に教われるなんてもんじゃない。恐怖のどんぞこだ。

そんなみんなの怖気をよそに豪傑は刀を振り上げ、一刀のもとに悪い奴の首を切った。

次の瞬間、その場に居合わせた者、全員が、歯の根が合わないほどに驚愕した。

あろうことか、首だけとなったその悪い奴が、ガツンと柱に噛み付いていたわけだ。

あぁこれで七代祟られる!やっぱりあいつは只者じゃなかったんだ!
どうしよう〜!と。
腰を抜かす寸前までに皆の心の中を後悔の嵐が吹き荒れたんだねぇ。

その時、首を切った豪傑侍が晴れやかな顔で言ったんだ。

「よし。これでもう大丈夫だ」と。

皆はポカンだった。

「何が大丈夫なものか。だって見てみろ、ありえない意思で柱に喰らいついてるじゃないか」と。

豪傑は答えた。

「そ
う。それだよ。あいつは首が飛ぶ直前、柱に喰らいつくことだけしか考えていなかったはずだよ。何としてでもあの柱に喰らいついてやる!絶対喰らいついてや
る!ってね。その事だけをひたすら念じて、その結果がこうだよ。やつの最後の望みはこうして成就されたわけだ。当然オレたちに祟る事なんか考えてる暇はな
かったはずだよ。だからこいつの恨みはこの柱に喰らいつくことで終わったんだよ。」

そういってまた面白そうにカラカラ笑ったんだね。

その話を聞いた侍たちは、「なるほど」と思い、皆一様にホッとして明るい気持ちになってしまったんだね。
そしたら、さっきまであんなに怖かった柱に喰らいついてる首が怖くなくなってしまったんだね。なんだか、可笑しなものに見えてきた。

そんな話だったよ。

この話の、どれひとつにも何の根拠も無いよ(笑)。
実話でも無いかもしれないよ(笑)。
オレに話してくれた親父ももう今生の人ではないしね。
誰もこの話の信憑性に責任はとってくれない。
そんな与太話のたぐいですわ。

でもね、
人の心の弱さや、
考え方ひとつで、同じものがまったく違って見えるという人の心は、
この通りのような気がするんだよ。

飛んだ首が柱に食いつかなかったらなかったで、
「ほうら見ろ」と豪傑は笑って済ませたかもしれない。
それでも、侍たちは、ホッとしたかもしれない。

どっちにころんでも成功する策を、この豪傑は思いついたんだね。
そうして心の隙間に忍び込んでしまった暗い影を、この一策で吹き飛ばしたんだね。

怯えた気持ちのままで、事を終わってはまずいと豪傑は考えたのだろうね。
だから、突飛なことを言い出した。
そして、見事にその場の空気をガラリと変えることに成功した。

自分だけはいつも幸せでいたいと思う心が、人の心を弱くするのだと、ぼくは思うことがあるよ。誰だって幸せと平穏は失いたくないから無理も無いよ。
でも、不安な影が寄せた時は、戦わなくてはならない。
不幸せにするというならしてみろと。
どん底に落ちてもまたそこから始めてやると。
それが闘志を燃やすということだよ。

不安な黒い影は自分の心が作り出すものだから、そいつの始末をつけられるのは自分だけだと、オレは思うよ。
だったら奥さん、ギラリとしたものを抜くしかない。
そうして心の中で言ってやるんだ。

「やってやる」と。

以上、本日の気休めでした。
気休めだが、これが案外と効くんだな。

あ、反論されても困るよ。言っとくよ。

では、奥さん。
本日も解散です。

掲示板を読みまして、個別具体的に何か言ってあげたい深刻な書き込み、ずいぶんありました。でも読みながら思いました。その方々はどの人も真剣に自分の人生と闘っておられると。
応援しております。
この二日間、書き込まれたもの、全て読ませていただきました。
応援しております。勿論口先だけでございます。
それでも応援しておりますの想いもまた本心でございます。
私に出来ることは気休めを言う事くらいでございます。
それしか出来ないのでございます。
そして、ただこの場所から見ております。

これからも読ませていただきます。
書かれたことは読みます。
そしてたまに気休めを言わせていただきます。
私に出来ることはそれくらいのことでございます。
出来る事だけはしようと思っております。

以上、おしまい。
すやすや眠れ。また明日。

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(19:39 嬉野)