2007年2月2日金曜日

嬉野

2007年2月2日金曜日
おばんです。
夜勤の嬉野です。
二月に入って、札幌、ちょっと冷え込んでおります。
トップの絵柄も二月になりました。
さて、本日も日勤の藤村先生が、この時間になっても編集中なので私はまた与太話を始めますよ。
別にヒマなんじゃないんですよ。
ただ、状況的にヒマになってるだけなんですよ。
今日はね、鏡の話ですね。
「しゃがむ」ことを「かがむ」って言いますわな。
昔、鏡なんてものが無かった頃。
自分の姿は水に映して見ていたそうですね。
まぁ、経験的に鏡が無い時代は、そうしていただろうという推測だと思います。
そん時ね、見る者としては、やっぱりしっかり見たいから、ついつい水面を覗き込んでしまう。
その時、水面に顔を近づけるために水辺で当然しゃがむことになりますでしょう。
しゃがんで見る、つまり、かがんで見るわけです。
「あぁ、あいつまた、かがんで見てやがる」
「かがんで見る」→「がが見」→「かがみ」と。
ま、そういう流れで、「かがみ」と呼ぶようになったと、ある本で読みましてね、まるでダジャレのような話じゃないかと思ったものですが、まぁそんなこともあるだろうと、ほほうと思って読んだもんですよ。
その本には、漢字を作った古代中国人が、「鏡」という字にどういう想いを込めたのか、
そのことも書いてありまして、それは大変興味深かったですね。
その本には、こんなことが書かれていたのですね。
「鏡」という字は、本来、「さかい」を意味する文字なのだ、と。
「さかい」とは、「国境(くにざかい)」とか言います、あの「さかい」ですよ奥さん。
そう言われれば、確かに「鏡」という字と「境」という字は、かなり似ています。
どちらも音読みを「きょう」と発音します。
ただ微妙に「偏」だけが違う。
「鏡」は「金偏」。
「境」は「上げ土偏」。
文字の「つくり」はどちらも同じ。
だから本来の意味も同じ、ということらしです。
じゃ、どうして偏が違うのかしら?
奥さんもそう思われるでしょう。
そーなの。
でも考えて御覧なさいな。
国土に「さかい」を引く時は、土の上に引くじゃない。
(まぁ、川だってこともあるけどね)
土の上に引いて「こっちの国」と「あっちの国」と世界を二つに分けてしまうわけじゃない。
だから「境」という字には「あげつち偏」を使ってるっていうのよ。
でも、昔の「かがみ」は金属製だったから、鏡には「あげ土偏」ではなくてね「金偏」を使ったのだということらしいのよ。
だから「鏡」と書いたのだ、ということらしいのよ。
でもね、私は、なるほどと思いながらも、よく分からなくなってまいりましたのよ奥さん。
ということはつまり、古代中国において、鏡とは、顔なんかを映す道具じゃなかったと言ってるわけだろうか、と思ったわけ。
だったらそれは奇妙な話だろう、と思ったのでございますよ。
だって「さかい」と言うのはね、「国境」という言葉に代表されるように、この世界を「こっちの世界」と「あっちの世界」の二つに分けてしまう力のことでしょう。
けれど、鏡ごときに、いったい何を二つに分ける力があると言うのだろうと、私は思ったわけなのでございます。
でもまったく思いつかなかったわけじゃない。
ほれ、子供の頃にね、鏡を覗き込んで、自分の後に広がる左右反対になった世界を見ているうちに、その鏡の中にもうひとつの世界があって、その中に入って行けるような気になったことがありませんでしたか?
そのくらい鏡に映った世界は、生々しくて、おまけに左右が逆に映るため、もうひとつの世界が直ぐそこにあるように見えてしまう。
「なんだ、世界は、この世界だけではなく、こんなとこに、もうひとつあったんじゃないか!」
そう思って、鏡の中に入ろうと手を伸ばすわけです。
その時、指先が何かにカチリとあたって、それ以上先に行くことを拒む。
その拒む物こそが鏡なのだ、と。
古代の中国人は、思っていたと言うことになりますよね。
古代の人は、鏡の中にもうひとつの世界を見ていた。
この世ではない、もうひとつの世界、あの世というものを鏡の中に見ていた。
そして、もうひとつの世界へ入ることを関所のように拒むもの。
世界を「この世」と「あの世」の二つに隔てるもの。
そういうものとして、鏡というものを捉えた、とういことになる。
古代中国人は、あんなちっぽけな鏡に、それだけの壮大なイメージを与えていた。
そういうことになる。
それはなんとなく楽しそうだなぁ、と私は思いました。
だって、世界は、私らが住まうこの世界だけではないということになる。
もっといろいろあるのだ、ということになる。
どんな世界が、私らの周りに広がっているのだろう、と本気で想像することになる。
どんなところに入り口があって、もうひとつの世界へ入って行けるのだろう、と誰もが気にすることになる。
そう思えば、小さな鏡を通しただけでも、イメージは外へ外へと広がりますよね。
イメージが、外へ外へと広がる。
それが、古代人を取り巻く世界だったような気がします。
鏡は、外の世界へ通じる窓だったのですかね。
でも、そんな、外界へ開け放たれた窓だった鏡が、いつの頃からか化粧台にはめ込まれ、やがて、鏡の中には、もうひとつの世界が広がっているのだと言う幻想も持てなくなるほど科学が栄え、当然のように鏡が映し出す世界は、この世の照り返しに過ぎないと、誰もが信じて疑えないようになってしまった、ということになりますね。
私らは、外の世界に心を馳せて、窓から外を眺めるように、鏡を見ていたほうが、よっぽど楽しいなぁと、私は、つくずく思ったのでありましたよ。
この世を照らし出すだけの鏡張りの部屋に閉じ込められるよりね。
自然の一部である人間は、外へ外へと広がって行くイメージに心躍らせるように出来ているのに、科学ってどうして、この世界をどんどん小さく小さく狭めていくイメージしか、もたらしてくれないんでしょうかねぇ。
思えば、そこが不思議でしょうがないですよね。
今晩あたり、いかがですか奥さん。
鏡を手に取られてね、ご自分の美貌に見惚れるのでなくてね、もうひとつの世界のあることに想いを馳せられては?
あ!
でも、夜中に鏡を見ると、鏡の中に自分の未来の姿を見てしまう、なーんていうお話もありますよねぇ。
そう思ったら、科学の時代である今だって、ちょっと怖い怖い。
やっぱり鏡って、不思議だよなぁっていうイメージは、どことなく未だに私らの中に残ってはいるものなのでしょうな。
やっぱり不思議な物やら怪しげなものは、いっぱいある方が、楽しいのよ。
じゃ、来週は、怪談話でも書いてやっかなぁ。
怖いやつ。
うそだ。
そんなヒマはない。
じゃ、また来週。
かいさーん!
お!
ちょうど藤村先生が、編集室より出てまいられました。
そこそこに、憔悴されておられます。
しかしながら、明日より週末。
まぁ一服されることでしょう。
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(22:38 嬉野)