2012年6月8日(金)
2012年6月8日(金)
嬉野であります。
たいへんご無沙汰をいたしておりました。
えぇ嬉野も藤村も、元気に生きておりました。
実は、5月の末から大分の臼杵で
竹細工の職人さんを取材したり、
竹田まで足を延ばして、
姫だるまの後藤久美子さんのご実家へ行ったり、
ついでに私の実家のあります佐賀へ里帰りしたりと、
いろいろしておりましたものですから、
ずいぶんと留守をいたしておりました。
加えて、うちの藤村は、今月の3日に福岡で別れた後も、
その足で東京へ上り、東京でひと仕事終えた後は、
韓国へ渡りと、多忙にしております。
さて、
ただ今も書きましたようにね奥さん、
この月の初めに、手前ども二人して大分の竹田へ参りましてね、
姫だるまを作っておられます後藤久美子さんの手引きでもって、
炭焼きというものを体験してまいりましたよ。
体験といいましてもね奥さん、
実際に山に入って、炭に焼く木を切り出してきたり、
窯の中に入って泥だらけになりながら、
切り出してきた木をぎっしりと並べたり、
夜通し火を絶やさないように薪をくべたりという、
大変な作業をしていたのは、
もっぱら、久美子さんのご主人と、
久美子さんの高校の時の同級生の龍ちゃんという
おじさんたちでありましたがね。
そもそも炭焼きの窯は、
久美子さんのご実家のお父さんのところにありましてね、
そこは奥さん、竹田の町から少し離れた、
棚田の広がる美しい山間の風景の中にありましてね。
久美子さんのお父さんも、実に10年ぶりの炭焼きということで、
実動部隊の久美子さんのご主人も、
久美子さんの同級生の龍ちゃんも、
生まれてこの方、炭焼きを体験したことはないので、
いちいちお父さんの指導のもとに作業をするわけで、
狭い狭い竈の中に腰を屈めて入ってね、
山から切り出してきた、
炭に焼こうという生木をですよ、
こう、竈の中にびっしり隙間なく並べてね、
という、まぁ、このあたりの炭焼きのようすはね、
くどいくらい写真を撮ってきましたので、
できるだけ早く、こちらのページで、
みなさまに紹介したいと思っておりますよ。
だって、どうにも文章だけでは説明できないのでありますよ。
ただ、切り出した木を炭にする理屈というものは単純で、
とにかく植物をすごい高温の空間の中に、
入れっぱなしにしておくというだけのことですから、
そうすれば植物は勝手に炭化して炭になってしまうので、
理屈は難しいものではない。
でも、もちろん、きわめて上質の炭を作るのであれば、
それはそれは大変な経験と技術が必要になるわけでしょうが、
それはまた別の話ですからね。
とりあえず暖をとったり、
煮炊きしたりするために、燃料が必要で、
でも、それなのに電気もガスもないのよねと、なるならば、
その時は、江戸時代のみなさんがやっていたように、
誰もが炭を焼くしかないわけで、
その時には、いきなり上質の炭というよりは、
とにかく生木を高熱でもって炭にしてしまうことが
急務となるわけです。
そう考えればね、
燃えちゃうほどの高温の中に長時間、
生木を置くためには、
長時間、高温のままの部屋がないといけないわけで。
それなら土を盛ってね、
その盛った土を掘って固めて、
中に小部屋を作るのが効率がいいわけで、
で、その小部屋を高温にするためにはどうするかと考えると、
その小部屋の前で火を焚いて、そこから発生する熱気が小部屋の中へ入っていくように空気の通り道を作ればいいということになる。
生木に直火が燃え移って火がつくと、
まぁ、それでも炭になるものはなるでしょうが、
ほとんどは焼けすぎて灰になってしまう。
だから直火ではなく、高温の熱気だけが生木へ行くような、
そんなふうな構造に竈をしなければならない。
そこで、
小部屋の中にぎっしり生木を並べたら、
その小部屋をふさぐように煉瓦を積んで、
でも完全にふさいだら、
生木に熱気が行かなくなるから完全にはふさがない。
いや、いかん。
こうやって文字で説明してると訳が分からなくなるばかり。
とにかく、
竈の中が、とんでもない高温になるまで、
まるまる一昼夜、竈に薪をくべて火を焚くのです。
そうして、竈の中の高熱が外に漏れ出ないように、
煉瓦を積んで焚口を作るんですが、
高温になるにつれ、
煉瓦の隙間から中の熱気が漏れ出てくる。
この熱気をあんまり漏らすと、効率が悪くなるから
隙間はふさぎたい。
そこで、熱の漏れる隙間を
水でこねた土でふさいでいくんだけど、
あまりに竈が熱くなっているから、
すぐに土が乾いてヒビだらけになってしまう。
ヒビだらけになった土は、
やがて熱に焼かれて、焼き物みたいに固くなってきて、
みるみる縮んで、剥がれ落ちそうになる。
やばいな。
どうするよ。
下手に触ると崩壊するんじゃないか。
いろんなことを言う。
とにかく、もう一度、土をこねて上塗りをしろ。
そうだ、それだ。
そうしてひび割れた乾いた土の上にまた水でこねた土を塗る。
それでも、ものすごい熱気で土の水気がみるみる吹き飛んで、
またひび割れがものすごくなってしまう、
もうひび割れだよ。
どうするよ。
放って置くか。
そうだな、触ると被害が広がるな。
いろんなことを言う。
でも、どうだろう。
なに?
この際、固くなって縮んじゃった土をはがしてね。
うん。
そいで、大きな隙間ができちゃうけど。
できるよ、まずいよ。
いや、でもね、そこに煉瓦の小さいのをおいてさ。
うん。
そうして、その隙間にまたこねた土を塗った方が強度が増すよ。
あぁ、そうだわ。それだわ。
こうして、ひび割れと崩落が進むたびに、
試行錯誤の補強が行われる。
そしたらなんだか、
ひび割れを繰り返すたびに、
そして補強が行われるたびに、
なんだか竈の見栄えが堅牢になっていくのです。
ぼくらは、その時思ったのです。
「あぁ、そうだ。変化していく状況に対応していくだけで、人生って好いのかもしれない」
「状況に対応するだけだったら、わりと楽しいかもしれない」
「ものを知らないって、失敗も含めて、いろいろなことを経験することになるのだから、失敗しそうになったら対応する、また失敗しそうになったら対応する、対応を繰り返すことが経験を積むことなのだから、目の前の状況に対応するだけで、生きていける」
「あまり難しく考えず、そのつど困ったら対応するで生きていく、そういう生き方で生きていける。なんだか妙なストレスいっぱいな今の時代に、そう思うことって意外に大事なのかなぁ」
「だって、このあたりにあるものだけを利用して、実は生きていけるわけだよ。そうだから、ぼくら人類は、今まで生きてこれたわけで」
「なんか、生きていくって、簡単じゃないけど、
でも、極端に難しくもないんじゃないか」
「だって、そんなに生きていくのが極端にむずかしいなら、
人間はとうの昔に、生きていけなくなっていたはずだからね」
そのうち炭焼きのこと、
もっと整理して書こうと思っていますが、
今日のところは、
こういうぼんやりだけで終わりますが、
なんか炭焼き見てて、
生きていくことの心構えを再発見したような、
なんか、そんな感慨がありました。
では、奥さん。
また週明けにお会いいたしましょう。
それでは諸氏!
本日も各自の持ち場で奮闘いたしましょうね。
解散です。
【「どうでしょう祭」に関するお知らせです】
みなさまには、「今年、祭りを開催します」と申し上げておりましたが、少し、延期することにいたしました。
今年の秋、3日間に渡って祭りを開催する予定で、様々な準備を進めておりましたが、ミスターさんのスケジュールがどうしても合わず、3日間のうち、1日しか参加できないという事態になったためです。
「じゃあ、しょうがないね、ミスターは1日だけの参加だね」と申し上げましたところ、「いやいや、朝から晩まで全部参加します」とおっしゃいまして。「いやでもね、各方面と準備を進めてるし、みんなにも今年やるって言っちゃったし、これを変更するのはちょっと大変なことだよ」と重ねて申し上げたところ、「それでも、すいませんが変更してください」と。「マジで?」「マジです」と。
「むかしのことだけど、『四国R-14』のときも、『水曜天幕團』のときも、オレは参加できなくて寂しかったんです」と。
「オレはもう全部出たいんです」と。
「4人いっしょに出たいんです」と。
そういうわけで、今年の秋の開催を延期いたします。秋を逃すと北海道は長い冬に入りまして、屋外での祭り開催は困難となります。しかしながら、7年前と同じく、屋外の広い場所で、数多くの人たちと集いたいと思っておりますので、祭りの開催は、来年、雪が解けてから、ということになります。
最近、ミスターさんとよく飲んでいます。飲みながら、いろんなことを話しております。祭りのこと、次の新作のこと、そして、これからのどうでしょうの、まだまだ長い道のりのこと。
ミスターさんと、嬉野先生と、私の3人で、いろいろ話しております。
先日、酔っぱらった勢いで、もうひとりの男に、3人の赤ら顔のおっさんの写真を送りつけました。
翌朝、その男から返信がありました。
凄い3ショットだ
どんな話をしてたんだろう・・・ちょっと怖い(笑)
でも、なんだか嬉しい3ショットですな
段取りが悪くて、各方面に多大なご迷惑をおかけいたしますが、水曜どうでしょう首脳陣一同、祭り開催の折りには、老体にむち打って、盛り上げる所存に御座います。
どうか、どうか、今しばらくお待ち下さい!
水曜どうでしょうは、今一度、がっちりとスクラムを組み、常に初陣の気持ちで、みなさまにお会いしたいと思っております。
7年前の「どうでしょう祭」で記念に植えた「祭り桜」は、そぼふる雨の中、今、満開の花を咲かせております。
【藤やんうれしーの悩むだけ損!】
ネットサイト「電撃オンライン」にて月2回のペースで「お悩み相談」を執筆しております。
【「どうでしょう祭」に関するお知らせです】
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「オレはもう全部出たいんです」と。
「4人いっしょに出たいんです」と。
そういうわけで、今年の秋の開催を延期いたします。秋を逃すと北海道は長い冬に入りまして、屋外での祭り開催は困難となります。しかしながら、7年前と同じく、屋外の広い場所で、数多くの人たちと集いたいと思っておりますので、祭りの開催は、来年、雪が解けてから、ということになります。
最近、ミスターさんとよく飲んでいます。飲みながら、いろんなことを話しております。祭りのこと、次の新作のこと、そして、これからのどうでしょうの、まだまだ長い道のりのこと。
ミスターさんと、嬉野先生と、私の3人で、いろいろ話しております。
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