2007年11月1日(木)

2007年11月1日(木)

嬉野です。
HPのお寺の境内にも霜がおりましてね。
寒々としてまいりました。
11月でございますね奥さん。

本日のお仕事も、とりあえず一段落いたされましたか?
皆さん好い一日でありましたですかな。
まぁいろいろあっても、しょうがないです。
お気張りください。

さてと、言う事で。
実は、今日も大した話が出来るわけではないのでね。
くだらん話をしますよ奥さん。

いえね。
つい数日前の夜のことなのです。
うーむ。どっからどう話せばいいのか分からないのですが。

実は奥さん。私には、ある癖がありましてね。
なんて言ったら好いのでしょうか。
「金縛り」癖。みたいなものがあるのですよ。

いえいえ奥さん。
軽い話ですよ。怖くないですから。
私は、オカルト好きじゃありませんから。

あれは確か私が二十歳の年でした。
年末にうちのばぁさまが95歳で大往生しましてね。
そのお葬式が終わりました翌晩に、
ちゃっかり私についた癖でしてね。

あの時は、ばぁさまとおぼしき人が私の枕辺に座りました。
リアルな気配に驚きました。それから癖になりましました。

あれは癖だと思いますよ奥さん。金縛りというのは妙な癖です。
ほら、足がつったりする癖が付いたりするでしょう。
あれだと思うのですよ。

だって、初めの頃こそ、
あまりにもリアルな気配を感じますのでね。
「なんと摩訶不思議なことがあるものじゃ!」と、
驚くんですけどね。
そのうち、あんまりちょくちょく金縛られますうちにね。
「またか」って思い始めるのですよ。
金縛られてる最中にです。

それこそ、二十歳の頃の最初はですね。
夜中に目が醒めても体が動かない、声が出ない。
なんてなことになりますからね。驚くのです。激しく。
でも、実はそれも夢なのですよ。
でもね、それに気づきませんから。
私はパニクってしまっておりました。
けれど。しかしながらね。
頻繁に金縛りを経験しますと、今度は、ほどき方も分かってまいります。

結局、夢です。あれは。
入眠時に見る幻覚です。間違いなく。
寝る前に頭使い過ぎてるとだいたい金縛られますよ奥さん。

しかしながら、その癖も。
年毎に減りましてね。近頃は一年に数回、あるかないか。
今回も、けっこう久々のことで、金縛られることなんて、もう半ば忘れていたくらい、私から遠いものになり始めておりました。

ところが数日前の晩。
私は「Onちゃん本」の原稿の最終の直しをしてたいのですよ。
遅くまで。
それで寝たのです。
経験上、入眠幻覚を見ることになりがちな状態で寝たのです。
つまり体は疲れてる、でも頭は妙に覚醒して、しかも興奮状態にあるわけです。

寝たと思っておりましたら。
私の胸の上を犬が乗り越えて行くのです。
「ハァハァ」言いながら。
その気配で私は目が醒める。そして犬の姿を探す。
だけど犬はいない。そらぁいないはずです。
醒めたと思っているだけで、その時私はまさに幻覚の最中なのですから。

で、それが始まると、その後、誰かに上に乗られて息苦しくなるのです。やがて、なんだか得体の知れない力に自分の体がぐいぐい引っ張られていくのです。
だから私は、その不思議な力に引っ張られまいと力まねばならない。そんなこんなが長々続くから鬱陶しい作業になるわけです。

ところがいつもと違い。今回、展開が派手だったのです。

今回初めての現象が起きたのです。

声がしたのです。
頭の上で(笑)。

声が聞こえた事はこれまでなかったのよ奥さん。
だもんで、なんじゃこれは!って一瞬身構えた。

声は言うのです。私に向かって。囁きかけるように。

「細かいことにこだわるなよ」って(笑)。

言ってんのよ奥さん。頭の上で。

え!って思ったさ。
だってそんなね。
声が聞こえるなんて初めてのことだったからさ。

ははぁ、今夜はいつもとだいぶ様子が違うなぁって思った。

で、その声を聞きながら。
あれ?この声は自分の声だなぁって思ったのですよ。
自分の声が、抗うなって言ってるんだなって思ったのです。

この辺の理解の速さが夢の醍醐味ですな(笑)。
説明が要らない。

それで、いっぺんに気が抜けてね。

「そうだな。抵抗するの止めて、一遍どうなるか成り行きを見てみるか」って思った。
どうせ夢だし。どのみちどっかで醒めるだろうって思った。

で、危機管理意識が吹っ飛んでね(笑)。
今回、初めて踏ん張るのを止めたのですよ。

そしたらあなた物凄い勢いでどっか行っちゃうのよ(笑)。
私がさ(笑)。
もうジェットコースターみたいな体感を覚えたよ私は。
すばらしいねぇ幻覚って。(←あくまでも入眠幻覚の話よ)
「2001年宇宙への旅」のラストみたいな感じよ。もの凄い移動感。

もうどっかへ体がすべっていくのですよ。もの凄い勢いで(笑)。
いやぁびっくりしました。
おぉこれはどうした。好いじゃないか。見たいな感じで盛り上がったね。

したら、次の瞬間。
不意にシーンとした静かな部屋に私はいたのです。
この辺りもまさにキューブリック映画(笑)。

そこに、医療器具なのか。大型コンピュータなのか。
精密で高級そうな機械が据えてありました。
床と天井から色温度の高い青白い光があたっている部屋でした。
白を基調にして、ところどころにグリーンをあしらった色使いの精密機械でしたね。
高そうな機械だったのです。
どう見ても新品。最先端っぽいのです。
その高そうで新品でぴかぴかの美しい最先端ぽい機械がですね、
その部屋を占拠してるのです。
その機械の真ん中に組み込まれるように椅子がひとつあった。
あぁ椅子があるなぁって思いながら熱心に見てた覚えがあります。

その部屋で。その機械を。
私は、じっと見ている。他に人は居ない。

で、思ったのです。

「なんでこんなものが見えるんだろう」って。

現実に見ているわけではないのに。
自分の記憶にある物でもないのに。
それなのに、その機械に近寄ったりできるのです。
近寄ればリアルに機械の細部も見えてくるのです。

そういえば、ものを見るのは脳だって聞いたなぁ。
本当にそうなんだなぁって思って見てました。
だって、ありもしないものが、ありありと見えているのですから。

声も聞こえる。耳で聞いてもいないのに。
声を聞いてるのも脳なんだなぁって思った。

気配だって脳が感じてるのかなぁ。

私の胸の上を乗り越えていった犬の重み。
掛け布団越しに感じる犬の足四本の感触。
聞こえてきた犬のハァハァという息づかい。
みんな脳が見せてくれ聞かせてくれたもの。

でも。
見たことのない機械が目の前に見えているのって。
これはなんだろうって思った。
記憶にないものを、そしてその細部を。
どうしてこう克明に見ることが出来るのだろうって。
それだけが分からなかった。

あの夜はその後も、もの凄い勢いであっちこっち飛ばされましたが覚えていません。

やがて知らぬ間に深い眠りにつけたのか、私は翌朝すっきり目が覚めました。

確かに、声の言った通り。
細かなことを気にしなかったから、好いものを見ることが出来たなと思いました(笑)。

人が死ぬ時に、人は走馬灯を見るというよね。
自分の一生が駆け抜ける馬のように目の前を行過ぎる。

それって、あんな感じなのかな、と思いました。
そうであれば、悪いものじゃないなと(笑)私は思いましたよ奥さん。

では、また明日お会いしましょうね。

解散!


(16:36 嬉野)