5月26日木曜日。藤村でございます。

5月26日木曜日。藤村でございます。

先週はわたくし、広島に行っておりました。中国・四国地方の映像プロダクションの総会に呼ばれまして、いろいろと話をしてまいりました。

広島に「アグレッシブですけど何か?」という深夜のバラエティー番組があります。

それを作っている金井くんというディレクターとは、何度も酒を酌み交わし(金井くんはまったく飲めない男ではありますが)、番組作りの話をいろいろとしております。

いつのまにやら私も四十中盤で、この年齢の現場ディレクターというのは、めっきり少なくなりまして、だから話といっても、後輩である彼の悩みを聞くことが多いわけでありますが。

そんな彼が、

「自分の番組のDVDを出したい」

と言いまして、それに対して私が答えたのは、

「それは自分が作りたいからか?」と。

「会社ではなく、ビジネスではなく、あくまでも現場ディレクターの『作りたい』という熱情がまずなければ、作る意味はないと思うよ」と。

すでにテレビ放送で見ているものを、わざわざDVDという形にしてもう一度お客さんに見てもらう。そんな衝動をお客さんに起こしてもらうためには、まず作る側に相当な熱情がなければ、お客さんはきっと振り向いてはくれない。見てもらいたいという熱情があれば、きっと手を変え品を変え、見てもらうための工夫を、誰に言われなくても、時間がかかっても、ディレクターが自分でどんどんするはずで。それではじめて、お客さんに「買ってみるか」と、少しぐらいは思ってもらえるかもしれない。まずそこがなければ、作っても見てもらえない。

そしたら、「はい、ぼくが作りたいんです」と。

「だったらいいと思うよ」と。「まぁ最初は売れないけど、熱情があれば、いつかお客さんに届くから」と。

熱情は人一倍強いが、悩みも多い金井くんが、必死こいて作った「アグレッシブですけど何か?」(広島ホームテレビ)のDVDが本日5月26日から発売となります。

同じ現場ディレクターとして、心から応援しております。

特に!広島のみなさんは、是非見ていただければと。よろしくお願いします!

で、あの「どうでしょう」さんからもお知らせ。

携帯の「HTBきせかえ500」に、新作きせかえが登場いたします。

「どうでしょうきせかえ#2」の和風テイストを継承しつつ、さらにこう、いい感じになったのではないかと。

私はすでに試作版をダウンロードして使っておりますが、実に工夫が細かい。最新作にちなんだイラストがさっそく登場しておりますし、待受画面は時間と連動して、夜になると西表島の「寝釣り」の場面がたまーに出てくる。メニュー画面は、コスタリカをイメージしておりまして、写真家が動物を撮っておるんですが、たまーに色鮮やかなケツァールが飛んでくる・・・とか。

デザインも見ていて飽きない。

配信開始は来週、5月31日午前11時からとなっております。

わたくしは現在、DVD第16弾「原付東日本/シェフ大泉夏野菜」の編集中。

本日は、あの「だるま屋ウィリー事件」を編集しております。

あの衝撃は、10年以上たった今でも、まったく色あせません!

よし、今日もどうでしょうはおもしろかった!

明日からまた出張です。では皆の衆、また来週!


↓嬉野先生の昨日のすごい長い日記。


2011年5月25日(水)

はい嬉野です。

つい、このまえのことですがね奥さん。
わたしゃ東京に用事が出来ましてね。
千歳空港から飛行機に乗って行ったんですよ。
ほら、出張というやつですよ、いわゆるね。

御主人も行かれるでしょう?出張。ねぇ。

私もね、そんなことで飛行機に乗ってね、
行ったわけですよ。あの日ね。

いやここ数年ね、
急に出張が多くなりましてね、
飛行機にも乗る機会が頻繁でね。

しかしアレですねぇ奥さん。
この頃の世間のサービスと言うのはですよ、
あれはなんでしょうね、
言葉遣いと態度がね、えらく丁寧でね、

もうもう、飛行機に乗り込む前から降りるまで、
本当にみなさん頭を下げられるんですよ、
こっちとしては申し訳ないくらいでね、
やめて欲しいくらいですよ。
ほんとにね。

あの日もそうでした。
あの日も御丁寧な言葉漬けの状態でね、
わたしゃ、飛行機に乗ったんですが。
さぁ、それが着陸ということになってね、
機長より不意のアナウンスがありまして。

飛行場から、
緊急なお知らせがあったといういことですよ。
聞けばですよ、
なんでも、
滑走路にね、
物が置かれているので、
着陸を見合わせるように指示があったという事でね、
これより上空を旋回して空中で待機いたしますということでしたよ、

「お急ぎのところ、お客様方には、まことに御迷惑をおかけして申し訳ございませんが…なんだかんで…どうのこうので…」とね、
御丁寧な調子で、くどくどありましてね、

しかしながらね、
まぁこちらとしてはですよ、
仕事には余裕を持ったスケジューリングをする方ですから、
多少遅れたところで行路に支障はないわけでね、
それよりかは、もう、
事故の無いのが一番ありがたいに決まっているわけですよ。
ちゃんと無事に降ろしていただければなんの文句もないわけで、

それでもね、
30分くらい上空を旋回していましたかしら、
さすがに、
「あら、わりに長いね」と思う程度にはね、
旋回していましたね。

でまぁ、その後、
滑走路の片付けも無事に終わったのでしょうね、
その旨、また機長から例の調子でご丁寧なアナウンスがありましてね、

でまぁ、こちらとしては、無事に降ろしていただけさえすれば、
なんの文句も無いどころか、感謝なのに、
いちいち詫びていただかなくても…、
なんてなことを思ってるうちに、
飛行機は見事な腕前で滑走路に着陸いたしまして、

そうしましたら奥さん、
今度は、いわゆる例のね、
自走式のタラップというんですか?
あの飛行機の出口を空港ビルに直結させる廊下あるじゃないですか、
あれが、なんだかの事情で、こちらへ向かうのが遅れていますというアナウンスがね、
また機長の方から、丁寧な口調でね、くどくどとありまして、

「お急ぎのところ、お客様には、えぇ〜」「大変御迷惑をおかけして、どうのこうのぉ〜」と、「え〜」とか、「う〜」とか、無秩序に交えながら長々とありまして、
で、もって、いっこうにドアは開かない。

その辺りからでしょうか?
妙な感情が私の胸の中に湧き立って来る予感がありましたね、
なんなんでしょう?
苛立ちですか?

いや、
でもね奥さん、
苛立つ理由なんかないんですよ、どこにも。

だって私は、時間に余裕があるんだし、
機長は見事な腕前で着陸してくれたし、
なんの文句もない、
ただね、タラップがこないの、
それもね、結局、30分くらいこないの、

でね、
来ないから機長も気を使ったのかね、
盛んにアナウンスを入れてくれるんだけど、
そのアナウンスが例の御丁寧なアナウンスでしょ、

「お急ぎのところ、お客様には大変ご迷惑を…あぁ〜、こう〜なんだかんだ…、」と。

それを聞くうちにね、
どうしたのかしら、
イラつく自分がいるのよね、

いや不思議なの、
自分でも分からないのよ、
私がイラつく動機が。

だって、あんなに丁寧に謝ってくれてんのによ
それに対して怒りが出てくるってどういうことよ、
もうもう自分でも自分の感情の意味が分からないのよ。

そうこうしてたらね、
また、機長からのアナウンスが入ってね、

タラップはもう来ません、代わりにバスが来ますっていうのよ、
そして、
「お急ぎのところ、お客様には大変御迷惑をおかけして、まことに申し訳ございませんが…、」ってまた始まんの。

でね、
気がついたらね、
猛烈に腹を立ててる自分がいたの。

もうね、自分でも分からないのよ奥さん、
私の怒りの理由がさぁ、
だって、機長は見事な腕前で着陸してくれたのよ、
それに遅れたのはまったくもって機長のせいじゃないのよ、
わたしゃ、感謝したいくらいなの、
なのに、なんだか、下りる頃にはものすごく怒っちゃってる私がいるの…。

火のないところに煙は立たないなんていうけど、
この場合まったくなんにもなかったのよ、
怒る理由は。

なのに、
なにがどうなったのか、
腹たって腹たってしかたがないという精神状態でね、

「バスなんか呼びやがって…」と、
にがりきっちゃった感じで、わたしゃ飛行機の階段を下りてたのよ、

してそのままバスに乗ったの。

バスはもう満員よ、

「なんだよ、この満員のバスわぁ!」

という感じでね、
こっちは、わけの分からん怒りの炎を燃やしながらバスに乗るでしょ、

したらバスの運転手さんがね、
プシューッとドア閉めてね、
ぶっきらぼうなさぁ、
気を使う気も無いようなぼそぼそ声でさぁ、
言うのよ、
ただひと言、

「はい、バス発車ぁ」

って、
言ったの、ぶっきらぼうに、

して、いきなり動かすの、
バスをよ、
して言うのよ、

「発車のさいゆれま〜す」って、
言った瞬間、すんごいぐあいに揺れるの、バスが。

その時、その運転手さんのね、
その、ぶっきらぼうな言葉遣いと、
ぞんざいな対応にね、
私は、心底ホッとしてたの。
おかしなことを言うようだけど。

私の気持ちはもう素直に、
「よろしくおねがいしまーす」
みたいな感じでね、
身分の低い私として、
いつもどおりに対応してたのね。

そうしたらさぁ奥さん、
私の意味不明だった怒りが見事に鎮火してたのよ。
あんなに腹立ててたはずだったのに。
なんかそうだったの。
スッとしてホッとしたのよ。
鎖が解けたように。

私は思ったの、
きっとね、
「私が、あんなに丁重に扱われることに意味が無い」と、
私は、ずっと思っていたんじゃないだろうかとね。

だって、殿様じゃないだよ、わたしゃ。

だから、不意にね、
バスに乗ったときにね、
運転手さんから、ぞんざいにね、
いつもの世間のラフな言葉の雰囲気で扱われてさぁ、
やっと低い身分の自分を、
そういう普段どおりの者として、
正しく対応してくれる人に出会えてね、
私は、やっと我に戻ることができてね、
きっとホッとしたんだなぁって思ったの。

だって、あっさり気分が落ち着いたからね。

あれはつまりね奥さん、
魔法が解けた瞬間だったんだろうと思うよ。

周りから、
すんごく丁重に扱われているうちに、
私は、悪い魔法に掛かっていったのかなぁと思うのよ奥さん。

魔法にかかってね、
そうして、だんだん、言葉遣いや、態度だけじゃ満足できなくなってね、
我がまま言いたくなっていったんじゃないかしらね。

「おまえらは、言葉遣いと態度だけは、ものすごく気を使ってるが、結局、段取りが、ひとつもすんなり行かないじゃないか!」
「なにをもたもたしてるんだ!責任をとれ!」みたいなね。

そんなことを身分不相応に私は思ってしまっていたような気がするの、

あれってさぁ、
だから悪い魔法に掛けられてしまってたってことじゃないのかなぁと、
あの日、バスの中で揺らされながら思ったの。

世間が、殿様でもない私らを殿様みたいに扱ってくるから、
殿様みたく扱われ馴れするうちに、
私らは殿様でも無いのに気持ちが殿様になっちゃう。

でも、別に殿様じゃないから、
なんの力も無いままなわけです。
当たり前ですけどね。

でも魔法のせいで「気分は殿様」になっているから、
結局、力は与えられないじゃないか!って思ってしまう、
わがままな怒りが養われてしまうと、
知らぬ間に「気分はすっかり暴君」になっちゃう。

あれは悪い魔法に掛かっているということだよね。
今の世の中は、そういう魔法が不用意にそこここにある。

もちろん、だれも、
魔法を掛けようとは思っていない。
ただ、不用意に呪文を唱えているのだと思う。
過度に「丁重に扱う」というという「呪文」ね。

それが横行してるもんだから、
知らぬうちに、日本のあちこちで、
魔法に掛かった暴君が生まれ育っているのではないのかなぁ。
とまぁ、そんなことを思ったのです。

怖い怖い。

ですからね、
飛行機に乗せていただいて、
何よりありがたいのは、
無事に運んでいただくということに尽きるということをね、
世間は今一度、認識を新たに表明したほうが好いのではないかなぁと思いました。

飛行機を運航される側のみなさんに、
安全運行以外のことにまで気を遣っていただくのは申し訳ない。
我々お客への対応はアッサリで結構だと思います。

そんなことには、どうぞあまり気を遣わないでいただいて、
機長さんを始としたスタッフのみなさんには、
リラックスしていただいて、
連絡事項は、あくまでも事務的にアナウンスしてもらえればと思います。
とくに御自分のせいではないことに、
責任を感じてお詫びになるようなことは、
ないと思いますです、はい。

もしね、
丁重な対応をしないと怒るという人がおられるならば、
その方は、おそらく、
そうとう魔法に掛かっておられる「暴君になってしまって戻れなくなっておられる方」じゃなかろうかと、
私は怪しむのですよ奥さん。

奥さんは、どう思われます?
おや?
誰も返事をしないねぇ?

あれ、
もう誰もついてきていないじゃないのよ?

長すぎた?
聞くだけ野暮?
まぁいいや。

それでは諸君。本日も各自の持ち場で奮闘されたし!
だれも聞いちゃいないねぇな。
では、また明日。

解散!




(18:54 藤村)

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