2006年8月8日火曜日

はい、嬉野でござりやす。

さて、少し前のことになりますがね、ある方から一冊の小冊子をいただきました。
それは、市の広報誌のような薄手の冊子でした。

その中の記事に「入らずの森」というタイトルの一文があります。
見開きのその記事には一枚の写真が掲載されていました。

写真は、中学校の校舎の窓から写した校庭の風景です。

それは、ぼくなどには馴染みのある田舎の中学校とでも言えそうな落ち着いた感じのある懐かしい風景でした。
取り立てて個性的なデザインの校舎ではないことが、かえってぼくの気持ちをほっとさせてくれる、そんな程度にひっそりと平和な雰囲気のある中学校の風景でした。

ところが、明らかに普通ではないものが、そこに写っているのです。

校庭の真ん中に、こんもりとした森があるのです。
それはそれは、不自然なありようでした。

まるで校舎から校庭に向かって小さな岬が突き出しているかのように欝蒼と木々の茂った暗い森があるのです。
それはちょっと見慣れない光景でした。

でもなぜ、そのような邪魔な位置にあえて森を残しているのでしょうか。

どうも、この中学校を設計した人は、初めからそんな森は無視していたようなのです。

結局、ほかの施設の立地を優先的に考えると、どうしても森は現状のその校庭のその位置に来る。
しかし、そんな森は当然撤去して「さら地」にするから構わない。
そんな森は無くすばかりなのだから。

そういう思想がまずあって、この中学校は建設されたようなのです。

ところが、その森は無くなるどころか未だに校庭の真ん中にある。

記事には、その森を撤去しようとするたびに工事に支障が起き、怪我人が出、撤去作業をする人が恐れて誰も寄り付かなくなり、結局残ってしまったことが書かれていました。

その森は、江戸の昔からそこにあり、みだりに入り込むと祟(たた)りがあるので「入らずの森」と恐れられていたのだそうです。

この中学校が出来て、もう百年近い時が流れたでしょうか。

何代にも渡り、多くの在校生たちがその森を間近にしながらそこで中学の数年間を過ごしてきたということになります。

この記事を書いた方も、その中学の卒業生だということでした。

その間、祟りが有ったのか無かったのか。
それは分かりませんが、でも日常的に「その森が発する何か」を子供たちも大人たちも静かに受け止めていたことは間違いのない事実のように思われます。

その不確かな何かが、人の心にある、とても大切な何かに反応していたようなのです。

近年、また「入らずの森」の撤去作業の話が再浮上してきたのだそうです。
でも結局、今度もまた森は残りました。

今度は、撤去作業で祟りが起こる前に、在校生や卒業生が、撤去に異を唱え始めたのだそうです。
撤去作業の噂が個々の身の内に起こした胸騒ぎは、思いがけずひとつにまとまり、いつしか大きな反対運動に広がっていったのだそうです。

「入らずの森」が無くなるらしい。
その情報はその森を知る者たちの心を一様にざわつかせ、地元に残る者だけでなく東京や地方へ転出して故郷にめったに帰らない者達の許へも知らされ、遠く忘れかけようとしていたはずの何かに強く訴え掛けてしまったようなのです。

人々は思いがけず奮い立ち、また森を残してしまった。

誰もが「入らずの森」を異質なものとして拒まず、それどころか自分の人生にあって、失いたくない大切なものとして無意識のうちに受け入れてしまっていた。

いったいそれはどういうことなのでしょう。

祟り神を恐れることによって、そこを神聖な場所として守ってきたかつての日本人から、ぼくらは遠く離れてしまったはずだったのに。
ぼくらは、ぼくらが分け入ることの出来ない、もやもやとした、ここではない、もうひとつの世界のあることを、ひょっとしたらまだまだ必要としているのかもしれませんね。

きっとぼくらは、自分たちにとって本当に大切な物が何であるのかを、実は、よく知っているのかもしれないなぁと、この記事を読んでね、思いましたよ。

やっぱ長期間野菜を食べなかったら無性に野菜が食べたくなるものね。

そんなことをね、思いましたのよ奥さん。

えぇ、この記事を書かれました方の文章がとても好くてですね、ぼくは今でも貰ったその冊子を大切にしまっております。

まだまだ日本中に面白いとこ、きっと沢山あるんでしょうねぇ。
あぁ旅がしたい。

さぁ、それではみなさん、また明日。
こつこつマメに生き抜きましょう。

そーして、またここに来ましょうねぇ!
明日もどーせヒマなんでしょうー!
ヒマでなくてもヒマ作るのよー!
待ってますよー!

札幌、暑いのよー!
みんなも気張るのよー!

以上、解散!

【新作放送決定!】
ついに関西で05年新作「激闘!西表島」が放送開始!
お久しぶりでございます!ABC朝日放送さんで!
7月8日から9月2日まで毎週土曜日25:00~

(17:38嬉野)

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