6月16日金曜日。今週も終わりでございます。藤村にございます。

6月16日金曜日。今週も終わりでございます。藤村にございます。

6月1日から北海道でもデジタル放送が始まりまして、先週のYOSAKOIソーラン祭りが実質的なデジタルハイビジョン中継の最初となりました。

いわゆる「地デジ対応テレビ」、横長薄型の高級なやつですな、あれを持っているご家庭では、明らかに今までとは比べもんにならんクリアな映像をご覧いただけたはず。私も会社の横長テレビで見ましたが、それはちょっと、軽くショックをおぼえるほどの美しい画面でございました。

しかし、まだまだ「地デジ対応テレビ」など高級品。「いよいよ地デジスタート!」などと声高に叫ぶテレビ局の社員ですら持っている人はほんのひと握り。我が制作部にいたっては「誰も持ってねぇ」という世間一般よりもひどい普及率。

「なんかボタン押したら情報が出てくるらしいが、んなもんメンドくさくてやらねぇよ」
「いくら映像がキレイったってねぇ、バラエティー見るのに高画質はいらねーなぁ」
「まだウチのテレビ壊れてないし」
「だいたい高すぎるんだよ!テレビに30万も出せるか!」

デジタル放送に対する意見というのは、皆様のところもだいたいこんな感じでしょう。

「映像がキレイ以外の、デジタル放送の利点がよくわからん」

根本的に、

「デジタルとアナログの違いがよくわからん。何が違うのよ」

まったくですね。テレビ局に勤めている私ですらその違いがよくわかりません。

結果、「今のままでいいや」と。

ところが、です。

先日のYOSAKOI中継でわたくし、デジタルとアナログの違いを初めて実感いたしました。「映像がキレイ」とか、そういうことじゃございません。「もっとわかりやすい、見た目の違い」。

説明しましょう。

デジタルテレビは「横長」でございます。ヨコ:タテの比率が「16:9」の長方形。一方、奥さんとこのアナログテレビは「4:3」。正方形に近い形でございます。

我々は先日の中継で初めて「デジタルハイビジョン中継車」を使用しました。カメラマンが映し出す映像はすべて「横長」であります。デジタルテレビであれば、カメラマンが映した通りの横長の映像が映ります。しかし、奥さんとこのテレビは正方形。カメラマンが映した通りの映像は映りません。ではどんな映像が映るのか?

「両サイドを切り落とした映像」が映ります。

つまり、「真ん中あたりだけ」が映る。
そうすると例えば、画面の右端に大泉さんがいたとしたら、奥さんとこのテレビには映らない。しかしそうならないように、ちょっと映像が端っこにずれようもんなら、

「おい!アナログテレビじゃそこ映ってないぞ!」

中継車からカメラマンにすぐさま指示が飛びます。
カメラマンは大変。横長のファインダーをのぞきつつ、中央付近の正方形の映像も意識しなければならない。いやむしろ現在の普及率を考えれば、アナログの正方形の映像を中心に考えなければならない。「おい!そこ映ってないぞ!」全員の意識も中央に集中します。おかげでアナログテレビでも違和感のない映像を見ることができる。

ところが、今後デジタルテレビの普及率が上がっていけば、我々の意識も徐々に「横長」にシフトしていく。すると、中央だけでなく全体で画作りを考えるようになる。端っこに映ってるか映ってないか、そこには無頓着になる可能性もある。

でも、「映像の両サイドをカットする」というのは、昔から映画をテレビで流す場合にやっていることなので、まぁそれほど見た目上の問題になることはないでしょう。

しかし、同じ「横長」でも「映画」と「デジタルテレビ」では、決定的に違うところがあります。

映画とテレビで映像上、決定的に違うところ。

わかりますか?奥さん。

テロップや文字スーパーですよ。

テレビは、文字スーパーやテロップを映像に多用する。むしろそれがあって初めて、テレビの映像が成り立つと言ってもいい。

となると、こればかりは映像のように「カット」できないわけです。映像として成り立たなくなってしまう。そうなると、「横長」映像であったとしても両サイドには文字スーパーが出せないということになる。すべて中央付近に出さなければならない。

奥さんちのアナログテレビで見てたら別に違和感はないんですよ。今までと同じ。でも、横長のデジタルテレビで見たら、妙にスーパーが真ん中に集まっちゃって違和感ありまくり。

「アナログとデジタルのわかりやすい違い」というのは、スーパー・テロップ類の見え方だと思うのです。

そしてたぶん、アナログからデジタルへ移行するとき、我々作り手が一番苦労するのは、このスーパー・テロップ類の出し方だと思うのであります。

わかりやすく言おうか。

我々どうでしょう班が使うデジカメも、そのうち「横長」になるでしょう。出演者は2人だ。そうすると文字スーパーをどこに出す?真ん中?いや、たぶん、おさまりがいいのは両サイドだろう。そうなると・・・奥さん、お宅のテレビじゃ珠玉のセリフスーパーが見えないよ。どうする?困るよね。でも、いつか必ずその日が来る。

「アナログとデジタルの違い」
「アナログからデジタルに移行した」
「デジタルテレビ買わないと!」

そう実感するのは、文字スーパーが見づらくなる瞬間じゃないだろうか。

2011年にテレビはすべてデジタル化されます。しかしそれまでの5年間、いったいどの時点で視聴者と作り手の意識が「横長」へと変化していくのか。その一番わかりやすい指針が、「文字スーパーの処理方法だ」と、わたくしはにらんでいるのであります。

ちなみに我々どうでしょう班、まだまだ「横長」の導入は考えておりません。今のところ「全番組の中で一番遅く導入」ぐらいの漫然とした構えで状況を見守っております。

ということで、皆の衆、本日はテレビマンらしいお話をしましたよ。

達者でな。また来週。

(18:12 藤村)

2017年5月

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